>   故事成語   >   か行   >   苛政は虎よりも猛し

苛政は虎よりも猛し

せいとらよりもたけ
  • 出典:『礼記』檀弓下
  • 解釈:悪い政治の行われている場所は、虎の出る場所よりも恐ろしい。「苛政」は民衆を苦しめる過酷な政治のこと。「せいとらよりももうなり」とも。
  • 礼記 … 49編。儒教の経書の一つ。礼についての多くの説を集録したもの。五経の一つ。十三経の一つ。ウィキペディア【礼記】参照。
孔子過泰山側。
こう泰山たいざんかたわらぐ。
  • 孔子 … 前551(または前552)~前479。春秋時代の思想家、儒教の祖。の人。名はきゅうあざなちゅう。ウィキペディア【孔子】参照。
  • 泰山 … 五岳の一つ。今の山東省西部にある。ウィキペディア【泰山】参照。
  • 側 … 「かたわら」と読む。そば。付近。
  • 過 … 通り過ぎる。
有婦人哭於墓者而哀。
じんはかこくするものりてかなし。
  • 哭 … 大声をあげて泣く。
  • 者 … 婦人を指す。
  • 哀 … (婦人の泣く様子が)あわれである、悲しげである。
夫子式而聽之、使子路問之曰、
ふうしょくしてこれき、子路しろをしてこれわしめてわく、
  • 夫子 … ここでは孔子を呼ぶ尊称。
  • 式 … 「しょくす」と動詞に読む。「しょく」と同じ。車の横木に手をそえて寄りかかり、上体をかがめて丁寧に会釈すること。
  • 聴之 … 婦人の泣き声をじっと聞き入る。
  • 子路 … 姓はちゅう、名は由。あざなは子路、または季路。孔門十哲のひとり。孔子より九歳年下。門人中最年長者。政治的才能があり、また正義感が強く武勇にも優れていた。ウィキペディア【子路】参照。
  • 使子路問之 … (孔子が)子路に婦人に向かって尋ねさせた。
  • 使 … 「使AB」の形の使役形。「AをしてB(せ)しむ」と読み、「AにBさせる」と訳す。
子之哭也、壹似重有憂者。
こくするや、いつかさねてうれものたり、と。
  • 子 … 「し」と読み、「あなた」と訳す。
  • 子之哭也 … あなたが声をあげて泣いている様子は。
  • 也 … 文中の「也」は「~や」と読み、「~は」と訳す。
  • 壱 … 「いつに」と読み、「まったく」「まことに」と訳す。
  • 重有憂者 … かさねがさね悲しみごとがある様子。「者」は様子。
而曰、然。
すなわわく、しかり。
  • 而 … 「すなわち」と読み、「すると」「そこで」「やっとはじめて」と訳す。
  • 然 … 「しかり」と読み、「そのとおりです」「そうであります」「さようです」と訳す。
昔者吾舅死於虎、吾夫又死焉、今吾子又死焉。
昔者むかししゅうととらし、おっとまたこれし、いままたこれせり、と。
  • 昔者 … 以前。むかし。「者」の読みが省略されるので、二字で「むかし」と読む。「者」は時を示す語に添える助字。「今者いま」なども同様。
  • 舅 … しゅうと。夫の父親。
  • 死於虎 … 虎に食い殺されて死んだ。「於」は「~によって」と訳す。
  • 又 … 「また」と読み、「さらにまた」「その上にまた」「またもや」と訳す。ちなみに「亦」は「~(も)また」と読み、「~も同様に」と訳す。「復」は「また」と読み、「再び」「もう一度」と訳す。
  • 焉 … 句末・文末のときは通常、置き字として訓読しないが、ここでは代名詞として「これに」と読み、「虎によって」と訳す。
夫子曰、何爲不去也。
ふうわく、なんれぞらざるや、と。
  • 夫子 … ここでは孔子を呼ぶ尊称。
  • 何為 … 「なんすれぞ~(や)」と読み、「どうして~か」と訳す。疑問の意を示す。
  • 何為不去也 … どうして(こんな危険な土地を)立ち去らないのですか。
曰、無苛政。
わく、せいければなり、と。
  • 苛政 … 人民に対する過酷な政治。主に重税などで民衆を苦しめること。
夫子曰、小子識之、苛政猛於虎也。
ふうわく、小子しょうしこれしるせ、せいとらよりももうなり、と。
  • 小子 … お前たち。孔子が弟子たちに呼びかける言葉。
  • 識之 … このことをよく覚えておきなさい。「之」は次の言葉(苛政猛於虎也)を指す。
  • 苛政猛於虎也 … 過酷な政治は虎よりもはげしいものである。「猛」は、はげしい。恐ろしい。
  • 於 … 「A~於B」の形で「AはBより(も)~(なり)」と読み、「AはBよりも~だ」と訳す。比較の対象を示す。
あ行 か行 さ行
た行 な行 は行
ま行 や行 ら行・わ