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悪事千里を走る

あくせんはし
  • 出典:『北夢瑣言』巻六(ウィキソース「北夢瑣言/卷六」参照)
  • 解釈:(善い行いはなかなか世間に知られないが)悪い行いはたちまち世間に知られてしまうこと。「好事は門を出でず、悪事は千里を行く」とも。
  • 北夢瑣言(ほくぼうさげん/ほくむさげん) … 二十巻。宋の孫光憲の撰。主として唐・五代・宋の逸事を載せている。三百三十余条ある。ウィキペディア【北梦琐言】(中文)参照。
晉相和凝、少年時好爲曲子詞、布於汴洛。
しんしょうぎょうしょうねんときこのみてきょく子詞ししつくり、べんらくけり。
  • 晋 … 五代の一つ、後晋こうしん(936~946)を指す。ウィキペディア【後晋】参照。
  • 相 … 宰相。
  • 和凝 … 898~955。後晋の宰相、詞人。字は成績。須昌(今の山東省東平県)の人。貞明三年(917)、進士に及第。ウィキペディア【和凝】(中文)参照。
  • 曲子詞 … 詞のこと。詞は、唐代後期から宋代にかけて流行した韻文形式の一つ。唐・五代では曲子詞とも呼ばれた。曲子とは、楽曲。曲子詞は、楽曲に合わせた歌詞の意。ウィキペディア【】参照。
  • 汴 … 汴京。五代から北宋までの都。今の河南省開封市。
  • 洛 … 洛陽。今の河南省洛陽市。
  • 布 … 広く行き渡る。流行する。
洎入相、專托人收拾焚毀不暇。
りてしょうたるにおよび、もっぱひとたくして収拾しゅうしゅうふんするにいとまあらず。
  • 洎 … およぶ。ある状態にとどく。ここでは宰相になったことを指す。
  • 托 … 他人に頼んで任せる。
  • 収拾 … 拾い集める。
  • 焚毀 … 焼き捨てる。
  • 不暇 … 「~するにいとまあらず」と読み、「~するひま・ゆとりがない」「絶え間がない」と訳す。
然相國厚重有德、終爲艷詞玷之。
しかれどもしょうこくこうちょうにしてとくるも、ついえんためこれく。
  • 相国 … 宰相のこと。
  • 厚重 … ずっしりして、落ち着きのあること。
  • 艶詞 … 男女の情愛を歌った、なまめかしい歌詞。
  • 玷 … 傷がつくこと。
契丹入夷門、號爲曲子相公。
契丹きったんもんりしとき、ごうしてきょくしょうこうす。
  • 契丹 … モンゴル系の種族および国家の名。唐末に内蒙古を占領し、五代のとき、今の東北地区をも領有して契丹国を建国し、のちに国号をりょうとした。1125年、きんに滅ぼされた。ウィキペディア【契丹】参照。
  • 夷門 … 山名。河南省開封市の城内の東北隅。夷山ともいう。山勢の平夷(平らか)なところから名付けられる。
  • 相公 … 宰相の敬称。
所謂好事不出門、惡事行千里。士君子得不戒之乎。
所謂いわゆるこうもんでず、あくせんく。くんこれいましめざるをんや。
  • 好事 … よい行い。
  • 不出門 … 家の門を出ない。なかなか世間に伝わらない。
  • 千里 … 千里の遠方まで。非常に遠い所まで。
  • 士君子 … 学問・教養・徳行のすぐれた人。
  • 得不戒之乎 … 過ちをしないよう、これを戒めとしないことがあろうか、いや戒めとする。
  • 得不~乎 … 「~ざるを得んや」と読み、「~しないことがあろうか、いや~する」と訳す。反語の形。
あ行 か行 さ行
た行 な行 は行
ま行 や行 ら行・わ
論語の名言名句