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寄綦毋三(李頎)

寄綦毋三
綦毋(きぶ)三(さん)に寄(よ)す
李(り)頎(き)
  • 七言律詩。陽・香・堂・郎(下平声陽韻)。
  • ウィキソース「寄綦毋三」参照。
  • 綦毋三 … 綦毋(きぶ)潜(せん)のこと。三は排行。「竜興寺に宿る」の詩がある。ウィキペディア【綦毋潜】参照。
  • 寄 … 詩を人に託して送り届けること。ちなみに「贈」は、詩を直接手渡すこと。
  • 李頎 … 690~751?。盛唐の詩人。本籍は趙州(ちょうしゅう)(河北省趙県)の人。開元二十三年(735)、進士に及第。新郷県(河南省新郷市)の尉となったが、官を辞し、神仙を慕って隠棲生活を送ったという。ウィキペディア【李頎】参照。
新加大邑綬仍黄
新(あら)たに大邑(たいゆう)を加(くわ)えられて綬(じゅ)は仍(な)お黄(き)なり
  • 新加大邑 … 新たに大きな県の職務を兼任した。大邑は、大きな町。ここでは、洛陽を指す。
  • 綬 … 官職を示す印を腰に下げる組みひも。地位によって色が違った。
  • 仍 … やはり。
  • 黄 … 県尉は下級職で黄色であった。
近與單車向洛陽
近(ちか)ごろ単車(たんしゃ)と与(とも)に洛陽(らくよう)に向(むか)う
  • 単車 … 一台の車。地位が低く、清廉な官吏であったことを示している。
  • 向 … 『全唐詩』では「去」に作る。
顧眄一過丞相府
顧(こ)眄(べん)一(ひと)たび過(よぎ)る 丞相(じょうしょう)の府(ふ)
  • 顧眄 … 振り返って見る。顧は、振り向いて後ろを見ること。眄は、流し目で見ること。
  • 丞相府 … 宰相の役所。
風流三接令公香
風(ふう)流(りゅう)三(み)たび接(せっ)す 令公(れいこう)の香(か)
  • 風流 … ここでは、名誉・光栄の意。世俗的なことを超越しているという意味ではない。
  • 令公香 … 魏の中書令となった荀(じゅん)彧(いく)がいつもよい香を焚きしめ、その坐ったあとに三日間残り香が漂ったので、人々はそれを令公香と呼んだという故事に基づく。唐の中書令は宰相であるから、ここでは宰相の意に用いる。荀彧については、ウィキペディア【荀彧】参照。
南川粳稻花侵縣
南川(なんせん)の粳稲(こうとう) 花(はな) 県(けん)を侵(おか)し
  • 南川 … 南の川べり。
  • 粳稲 … うるち米の稲。
  • 花侵県 … 稲の花が県城の中まで入り込んで咲き乱れている。
西嶺雲霞色滿堂
西嶺(せいれい)の雲(うん)霞(か) 色(いろ) 堂(どう)に満(み)つ
  • 西嶺 … 西の山々。
  • 雲霞 … 雲とかすみ。
  • 色満堂 … (雲とかすみの)めでたい色が役所の中に満ちわたっている。綦毋潜の善政をたとえている。
共道進賢蒙上賞
共(とも)に道(い)う 賢(けん)を進(すす)むれば上賞(じょうしょう)を蒙(こうむ)ると
  • 共道 … 世間ではみんな言っている。
  • 進賢蒙上賞 … 賢者を推薦すれば、格別の恩賞にあずかる。上賞は、特に厚い恩賞。この一句は『史記』蕭(しょう)相国(しょうこく)世家に、漢の高祖の言葉として「吾聞く、賢を進むれば上賞を受く(吾聞進賢受上賞)」に基づく。原文はウィキソース「史記/卷053」参照。
看君幾歳作臺郎
君(きみ)が幾歳(いくとせ)か台郎(だいろう)と作(な)るを看(み)ん
  • 幾歳 … 何年かのちに
  • 台郎 … 尚書省の郎中・員外郎をさして呼ぶ言葉。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻五(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻一百三十四(排印本、中華書局、1960年)
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