送魏万之京(李頎)
送魏萬之京
魏万の京に之くを送る
魏万の京に之くを送る
- 七言律詩。歌・河・過・多・跎(平声歌韻)。
- 魏万 … 詩人。進士に及第したが官には仕えなかった。作者より年が若かったと思われる。
- 京 … 都。長安。
- 李頎 … 690~751?。盛唐の詩人。本籍は趙州(河北省趙県)の人。開元二十三年(735)、進士に及第。新郷(河南省)の尉となったが、官を辞し、神仙を慕って隠棲生活を送ったという。ウィキペディア【李頎】参照。
朝聞遊子唱離歌
朝に聞く 遊子の離歌を唱うを
- 朝 … あさ。
- 遊子 … 旅人。ここでは魏万を指す。
- 離歌 … 別れの歌。
昨夜微霜初渡河
昨夜 微霜 初めて河を渡れり
- 微霜 … 薄い霜。
- 渡河 … 霜が黄河の北から南へ広がる。すなわち冬が南へしだいに及んでいくことをいう。
鴻雁不堪愁裏聽
鴻雁 愁裏に聴くに堪えず
- 鴻雁 … 雁のこと。ここでは雁の鳴き声。
- 愁裏 … 旅愁のわびしい思い。
雲山況是客中過
雲山 況んや是れ客中に過ぐるをや
- 雲山 … 雲のかかっている高い山。
- 況 … まして~はなおさらである。
- 客中 … 旅の道すがら。
關城樹色催寒近
関城の樹色 寒を催して近く
- 関城 … 関所となっている町。
- 樹色 … 木々の色。
- 樹 … 底本では「曙」に作るが『全唐詩』に従い改めた。『全唐詩』には「一作曙」とある。
- 催寒近 … 寒さをせきたてるかのように、近くにせまって見える。
御苑砧聲向晩多
御苑の砧声 晩に向って多からん
- 御苑 … 長安の御苑。
- 砧声 … 冬着を作るための、布を打つ砧の音。晩秋の風物。
莫見長安行樂處
見ること莫かれ 長安行楽の処
- 見 … 底本では「是」に作るが『全唐詩』に従い改めた。
- 行楽処 … 遊び歩く場所。
空令歳月易蹉跎
空しく歳月をして蹉跎たり易からしめん
- 蹉跎 … つまづく。貴重な時間を空費すること。
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