宿瑩公禅房聞梵(李頎)
宿瑩公禪房聞梵
瑩公の禅房に宿して梵を聞く
瑩公の禅房に宿して梵を聞く
- 七言律詩。微・稀・機・飛・依(平声微韻)。
- 瑩公 … 僧の名。人物については不明。
- 禅房 … 禅宗の寺。
- 梵 … 梵唄。経文に節をつけて読むこと。
- 李頎 … 690~751?。盛唐の詩人。本籍は趙州(河北省趙県)の人。開元二十三年(735)、進士に及第。新郷(河南省)の尉となったが、官を辞し、神仙を慕って隠棲生活を送ったという。ウィキペディア【李頎】参照。
花宮仙梵遠微微
花宮の仙梵 遠くして微微たり
- 花宮 … 仏陀の住んだ蓮花宮。瑩公の禅房を指す。
- 仙梵 … 読経の声をたたえた言葉。
月隱高城鐘漏稀
月は高城に隠れて鐘漏稀なり
- 高城 … 高い城壁。
- 鐘漏 … 時を知らせる鐘の音や水時計の音。
夜動霜林驚落葉
夜 霜林を動かして落葉に驚き
曉聞天籟發清機
暁 天籟を聞いて清機を発く
- 天籟 … 自然界の音響。自然になる風の音。
- 清機 … 清らかな心の働き。清浄な悟りの境地に入る機縁。
蕭條已入寒空靜
蕭条として已に寒空に入りて静まり
- 蕭条 … ものさびしく静かな様子。『楚辞』の「遠遊」に「山は蕭条として獣無く、野は寂漠として其れ人無し」(山蕭條而無獸兮、野寂漠其無人)とある。ウィキソース「楚辭/遠遊」参照。
颯沓仍隨秋雨飛
颯沓として仍お秋雨に随って飛ぶ
- 颯沓 … 物が多くて盛んなさま。
始覺浮生無住著
始めて覚る 浮生 住著無きを
- 浮生 … はかない人生。
- 住著 … 一処に停滞すること。物事に執著すること。著は助詞。
頓令心地欲歸依
頓に心地をして帰依せんと欲せしむ
- 頓 … 急に。にわかに。
- 心地 … 仏教で、心のことをいう。
- 帰依 … 仏道を信仰して、仏にすがること。
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