沐猴にして冠す
沐猴にして冠す
- 出典:『史記』項羽本紀(ウィキソース「史記/卷007」参照)
- 解釈:見かけだけは立派だが、心が卑しく粗野で、学識・教養のないことの喩え。「沐猴」は、猿。「冠」は、衣冠をつける。
- 史記 … 前漢の司馬遷がまとめた歴史書。二十四史の一つ。事実を年代順に書き並べる編年体と違い、人物の伝記を中心とする紀伝体で編纂されている。本紀十二巻、表十巻、書八巻、世家三十巻、列伝七十巻の全百三十巻。ウィキペディア【史記】参照。
項王見秦宮室皆以燒殘破、又心懷思、欲東歸。曰、富貴不歸故郷、如衣繍夜行。誰知之者。
項王、秦の宮室の皆以て焼けて残破せるを見、又心に懐思して、東に帰らんと欲す。曰く、富貴にして故郷に帰らざるは、繍を衣て夜行くがごとし。誰か之を知る者ぞ、と。
- 衣繍夜行 … 故事名言「錦を衣て夜行くがごとし」参照。
説者曰、人言、楚人沐猴而冠耳。果然。項王聞之、烹説者。
説者曰く、人は言う、楚人は沐猴して冠するのみ、と。果たして然り、と。項王、之を聞き、説者を烹る。
- 説者 … ある意見を説く人。
- 沐猴 … さる。
- 冠 … 「かむりす」とも読む。
- 耳 … 「~のみ」と読む。文末におかれ、「~なのである」と訳す。
- 果然 … やはりそのとおりだ。
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