狂瀾を既倒に廻らす
狂瀾を既倒に廻らす
- 出典:韓愈「進学の解」(ウィキソース「進學解」参照)
- 解釈:荒れ狂う大波がほとんど砕けてしまっているものを元の状態に戻そうとする。衰退したものを元の状態に立て直すことのたとえ。「狂瀾」は、荒れ狂う大波。「既倒」は、すでに倒れていること。「回瀾を既倒に反す」とも。
- 韓愈 … 768~824。中唐の詩人・文章家。河陽(河南省孟州市)の人。字は退之。昌黎(河北省)の人と自称した。諡は文公。貞元八年(792)、進士に及第。唐宋八大家のひとり。柳宗元とともに古文復興につとめた。『韓昌黎集』四十巻、『外集』十巻がある。ウィキペディア【韓愈】参照。
觝排異端、攘斥佛老、補苴罅漏、張皇幽眇、尋墜緒之茫茫、獨旁搜而遠紹。
異端を觝排し、仏老を攘斥し、罅漏を補苴し、幽眇を張皇し、墜緒の茫茫たるを尋ね、独り旁く捜りて遠く紹ぐ。
- 異端 … ここでは儒家以外の教え。
- 觝排 … よくないとして排斥する。「觝」は、突き当たる。「排」は、押しのけて除く。「抵排」とも。
- 仏老 … 仏教と道教。
- 攘斥 … 払いのける。排斥する。
- 罅漏 … 隙間。
- 補苴 … 欠点を補って正す。「補」は、付け足す。「苴」は、下に添える。
- 幽眇 … 奥深く、微妙なこと。
- 張皇 … 広げて大きくする。
- 墜緒 … 衰えた事業。ここでは、ほとんど絶えてしまった儒家の伝統。
- 茫茫 … ぼんやりとして、明らかでないさま。
- 遠紹 … 遠い昔のもの(儒家の伝統)を受け継ぐ。「紹」は、受け継ぐ。
障百川而東之、廻狂瀾於既倒。先生之於儒、可謂有勞矣。
百川を障えて之を東せしめ、狂瀾を既倒に廻らす。先生の儒に於ける、労有りと謂う可し。
- 百川 … 多くの川。
- 障 … 堰き止める。
- 障百川而東之 … 多くの川を堰き止めて、これを東に流す。すべての思想を儒家に従わせることのたとえ。
- 狂瀾 … 荒れ狂う大波。
- 既倒 … すでに倒れていること。
- 廻狂瀾於既倒 … ここでは、ほとんど絶えてしまった儒家の思想を元に戻そうという、極めて困難なことにたとえる。
- 先生之於儒 … 先生(韓愈)の儒家に対する努力。
- 可謂有労矣 … 御苦労なことと言うことができる。
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