移木の信
移木の信
- 出典:『史記』商君列伝(ウィキソース「史記/卷068」参照)
- 解釈:人民に対し、うそをつかず、約束を守ること。秦の商鞅が民衆の法令に対する信頼を得るため、都の南門に立てた木を北門に移した者には懸賞金を与えると告げて、実際に移した者に約束どおり賞金を与えたという故事から。
- 史記 … 前漢の司馬遷がまとめた歴史書。二十四史の一つ。事実を年代順に書き並べる編年体と違い、人物の伝記を中心とする紀伝体で編纂されている。本紀十二巻、表十巻、書八巻、世家三十巻、列伝七十巻の全百三十巻。ウィキペディア【史記】参照。
令既具未布、恐民之不信己。乃立三丈之木於國都市南門募民、有能徙置北門者予十金。民怪之、莫敢徙。
令既に具われども未だ布かず、民の己を信ぜざらんことを恐るればなり。乃ち三丈の木を国都の市の南門に立て、民を募り、能く徙して北門に置く者有らば、十金を予えん、と。民之を怪しみ、敢えて徙す莫し。
- 徙 … うつす。場所をかえる。
復曰、能徙者予五十金。有一人徙之。輒予五十金、以明不欺。卒下令。
復た曰く、能く徙す者には五十金を予えん、と。一人之を徙す有り。輒ち五十金を予え、以て欺かざるを明らかにす。卒に令を下す。
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