杯中の蛇影
杯中の蛇影
- 晋書 … 二十四史の一つ。帝紀十巻、志二十巻、列伝七十巻、載記(五胡十六国の歴史)三十巻の全百三十巻。唐の房玄齢・李延寿らの編。貞観二十二年(648)頃成立。ウィキペディア【晋書】参照。
〔晋書、楽広伝〕
樂廣、字彥輔、南陽淯陽人也。
樂廣、字彥輔、南陽淯陽人也。
楽広、字は彦輔、南陽淯陽の人なり。
- 楽広 … 晋の政治家。?~304。字は彦輔。南陽郡淯陽の人。官は尚書令に至る。ウィキペディア【樂廣】(中文)参照。
……嘗有親客、久闊不復來。廣問其故。答曰、前在坐、蒙賜酒、方欲飮、見杯中有蛇。意甚惡之、既飮而疾。
……嘗て親客有るも、久闊して復た来らず。広其の故を問う。答えて曰く、前に坐に在りて、酒を賜るを蒙り、方に飲まんと欲して、杯中に蛇有るを見る。意甚だ之を悪むも、既に飲みて疾めり、と。
- 親客 … 親しい賓客。
- 久闊 … 久しぶり。
- 疾 … 病気になってしまった。
於時河南聽事壁上有角、漆畫作蛇。廣意、杯中蛇即角影也。復置酒於前處、謂客曰、酒中復有所見不。答曰、所見如初。廣乃告其所以。客豁然意解、沈痾頓愈。
時に河南の聴事の壁上に角有り、漆もて画き蛇を作す。広意えらく、杯中の蛇は即ち角影なり、と。復た酒を前処に置きて、客に謂いて曰く、酒中復た見る所有りや不や、と。答えて曰く、見る所初めの如し、と。広乃ち其の所以を告ぐ。客豁然として意解け、沈痾頓に愈ゆ。
- 聴事 … 訴訟を受け付ける役所。
- 角 … 角弓(弓筈を角で固めて強くした弓)を指す。
- 豁然 … 疑いや迷いが急に消え去り、物事がはっきりするさま。
- 沈痾 … 長い間治らない病気。
- 頓 … にわかに。たちまち。
- 愈 … 治ってしまった。
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