疑心暗鬼を生ず
疑心暗鬼を生ず
- 出典:『列子鬳斎口義』(国立国会図書館デジタルコレクション「列子鬳齋口義2卷」参照)
- 解釈:一度疑い出すと、何でもない事まで信じられなくなり、恐ろしく感じられること。
〔列子、説符〕
人有亡鈇者、意其鄰之子、視其行歩、竊鈇也。顏色竊鈇也。言語竊鈇也。動作態度、無爲而不竊鈇也。俄而抇其谷、而得其鈇、他日復見其鄰人之子、動作態度、無似竊鈇者。
人有亡鈇者、意其鄰之子、視其行歩、竊鈇也。顏色竊鈇也。言語竊鈇也。動作態度、無爲而不竊鈇也。俄而抇其谷、而得其鈇、他日復見其鄰人之子、動作態度、無似竊鈇者。
人に鈇を亡える者有り、其の隣の子を意う。其の行歩を視るに、鈇を窃めるなり。顔色も鈇を窃めるなり。言語も鈇を窃めるなり。作動・態度、為すとして鈇を窃まざるは無し。俄かにして其の谷を抇りて、其の鈇を得たり、他日復た其の隣人の子を見るに、動作・態度、鈇を窃めるに似たる者無し。
- 鈇 … 斧。
- 意う … 疑う。
- 谷 … 窪地。
- 他日 … 後日。
〔鬳斎口義〕
此章猶諺言。諺曰、疑心生暗鬼也。心有所疑、其人雖不竊鈇、而我以疑心視之、則其件件皆可疑。
此章猶諺言。諺曰、疑心生暗鬼也。心有所疑、其人雖不竊鈇、而我以疑心視之、則其件件皆可疑。
此の章は猶お諺言のごとし。諺に曰く、疑心、暗鬼を生ず、と。心疑う所有れば、其の人鈇を窃まずと雖も、我疑心を以て之を視れば、則ち其の件件皆疑う可し。
- 諺言 … ことわざ。
- 件件 … いろいろな事がらすべて。
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