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五美を尊び、四悪を屛く

五美ごびたっとび、あくしりぞ
  • 出典:『論語』堯曰第二十2(ウィキソース「論語/堯曰第二十」参照)
  • 解釈:五つの美徳を尊び、四つの悪徳を退ける。これを実践すれば政治にたずさわることができる。「五美」とは、(一)恩恵を与えるが無駄な費用をかけない、(二)労働をさせても怨まれない、(三)求めてもむさぼりはしない、(四)ゆったりとしているが傲慢ではない、(五)威厳はあるが荒々しくない。「四悪」とは、(一) 教育しないで殺す、(二)戒告しないで急に成績を調べる、(三)いい加減な命令をしておきながら、期限を切って責め立てる、(四)どっちみち与えるのに、出し入れをけちけちする。
  • 論語 … 孔子(前552~前479)とその門弟たちの言行録。四書の一つ。十三経の一つ。二十編。儒家の中心的経典。我が国へは応神天皇の代に伝来したといわれている。ウィキペディア【論語】参照。
子張問於孔子曰、何如斯可以從政矣。子曰、尊五美、屛四惡、斯可以從政矣。子張曰、何謂五美。子曰、君子惠而不費、勞而不怨、欲而不貪、泰而不驕、威而不猛。……子張曰、何謂四惡。子曰、不教而殺、謂之虐。不戒視成、謂之暴。慢令致期、謂之賊。猶之與人也、出納之吝、謂之有司。
ちょうこういていわく、何如いかなればもっまつりごとしたがきか。いわく、五美ごびたっとび、あくしりぞくれば、ここもっまつりごとしたがし。ちょういわく、なにをか五美ごびう。いわく、くんけいしてついやさず、ろうしてうらみず、ほっしてむさぼらず、たいにしておごらず、ありてたけからず。……ちょういわく、なにをかあくう。いわく、おしえずしてころす、これぎゃくう。いましめずしてるをる、これぼうう。れいみだりにしていたす、これぞくう。ひとしくひとあたうるなり、出納すいとうやぶさかなる、これゆうう。
  • 子張 … 前503~?。孔子の弟子。姓は顓孫せんそん、名は師、あざなは子張。陳の人。孔子より四十八歳年少。ウィキペディア【子張】参照。
  • 従政 … 政治に携わる。政治を担当する。なお、君主の場合は「為政」という。「雍也第六6」参照。
  • 五美 … 五つの美徳。
  • 四悪 … 四つの悪徳。
  • 屛 … 除く。
  • 恵而不費 … 恩恵を与えるが無駄な費用をかけない。
  • 労而不怨 … 労働をさせても怨まれない。「里仁第四18」参照。
  • 欲而不貪 … 求めてもむさぼりはしない。
  • 泰而不驕 … ゆったりとしているが傲慢ではない。「子路第十三26」参照。
  • 威而不猛 … 威厳はあるが荒々しくない。「述而第七37」参照。
  • 不教而殺 … 教育しないで殺すこと。
  • 虐 … むごい。残酷。
  • 不戒視成 … 戒告しないで急に成績を調べること。
  • 暴 … にわか。無茶。不意打ち。
  • 慢令致期 … いい加減な命令をしておきながら、期限を切って責め立てること。
  • 賊 … 損害を与える。賊害。
  • 猶之 … 「ひとしくれ」と読む。
  • 出納之吝 … どっちみち与えるのに、出し入れをけちけちする。出し惜しみする。「吝」は、吝嗇。
  • 有司 …役人。小役人。ここでは、役人根性。
  • 詳しい注釈と現代語訳については「堯曰第二十2」参照。
あ行 か行 さ行
た行 な行 は行
ま行 や行 ら行・わ
論語の名言名句