幽居(韋応物)
幽居
幽居
幽居
貴賤雖異等
貴賤 等を異にすと雖も
- 貴賤 … 身分の高い人と低い人。
- 等 … 等級。階級。
出門皆有營
門を出づれば 皆営み有り
- 出門 … 我が家を出れば。「門」は我が家の門。
- 営 … 世渡りの営み。世渡りの仕事。
獨無外物牽
独り外物の牽く無く
- 独 … ただ自分だけは。
- 外物 … 自分の外にある地位や名誉や財産など。
- 牽 … とらわれる。惹かれる。
遂此幽居情
此の幽居の情を遂ぐ
- 幽居情 … 隠遁生活の静かでのんびりとした心情。
- 遂 … 存分に味わっている。
微雨夜來過
微雨 夜来過ぐ
- 微雨 … 小雨。こぬか雨。
- 夜来 … 昨夜。
不知春草生
知らず 春草の生ずるを
- 不知 … ~だろうか。多分~だろう。~かしら。
- 春草 … 春の若草。
- 生 … 萌え出る。
青山忽已曙
青山 忽ち已に曙け
- 青山 … (幽居の周囲の)青々とした山。
- 忽 … いつの間にか。ふと気がつけば。
- 曙 … 夜が明ける。
鳥雀繞舍鳴
鳥雀 舎を繞りて鳴く
- 鳥雀 … 雀などの小鳥。
- 舎 … 小さい粗末な家。ここでは幽居の住まいを指す。
- 繞 … まわりを回る。
時與道人偶
時に道人と偶し
- 時 … 時には。
- 道人 … 道を修行している人。僧侶。または道教の道士。
- 偶 … 連れ立つ。二人連れとなる。
或隨樵者行
或いは樵者に随って行く
- 樵者 … きこり。
自當安蹇劣
自ら当に蹇劣に安んずべし
- 当 … 「まさに~べし」と読み、「当然~するべきだろう」と訳す。再読文字。
- 蹇劣 … 動きが鈍く、劣っている人。ここでは世渡りの才能がない人。世渡りのへたな人。
- 劣 …『全唐詩』等には「一作拙」とある。
- 安 … 満足する。甘んじる。
誰謂薄世榮
誰か世栄を薄んずと謂わん
- 世栄 … 俗世における名誉。
- 薄 … 軽んじる。軽視する。
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