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幽居(韋応物)

幽居
幽居ゆうきょ
おうぶつ
  • 五言古詩。營・情・生・鳴・行・榮(下平声庚韻)。
  • ウィキソース「幽居 (韋應物)」参照。
  • 幽居 … 俗世間から逃れてひっそりと暮らすこと。閑居。
  • 韋応物 … 736~791?。中唐の詩人。長安(陝西せんせい省西安市)の人。じょしゅう(安徽省)刺史や江州(江西省)刺史等を歴任したが、最後の官が蘇州刺史だったので、韋蘇州と呼ばれた。自然を対象とした詩が多く、自然詩人といわれた。『韋江州集』十巻、『韋蘇州集』十巻がある。ウィキペディア【韋応物】参照。
貴賤雖異等
せん とうことにすといえど
  • 貴賤 … 身分の高い人と低い人。
  • 等 … 等級。階級。
出門皆有營
もんづれば みないとな
  • 出門 … 我が家を出れば。門は、我が家の門。
  • 営 … 世渡りの営み。世渡りの仕事。
獨無外物牽
ひと外物がいぶつ
  • 独 … ただ自分だけは。
  • 外物 … 自分の外にある地位や名誉や財産など。
  • 牽 … とらわれる。惹かれる。
遂此幽居情
幽居ゆうきょじょう
  • 幽居情 … 隠遁生活の静かでのんびりとした心情。
  • 遂 … 存分に味わっている。
微雨夜來過
微雨びう らい
  • 微雨 … 小雨。こぬか雨。
  • 夜来 … 昨夜。
不知春草生
らず しゅんそうしょうずるを
  • 不知 … ~だろうか。多分~だろう。~かしら。
  • 春草 … 春の若草。
  • 生 … 萌え出る。
青山忽已曙
青山せいざん たちますで
  • 青山 … (幽居の周囲の)青々とした山。三国魏の阮籍「詠懐詩」の第十三首(『文選』巻二十三では第六首)に「高きに登りて四野に臨み、北のかた青山のくまを望む」(登高臨四野、北望靑山阿)とある。四野は、四方の野原。ウィキソース「詠懷詩十七首」参照。また、南朝斉の謝朓「東田とうでんに游ぶ」詩(『文選』巻二十二)に「芳春の酒に対せずして、青山のかくかえり望む」(不對芳春酒、還望青山郭)とある。郭は、城壁。ウィキソース「遊東田」参照。また、南朝梁の簡文帝「秋夜」詩(『玉台新詠』巻七)に「りょくたん 雲気をさかしまにし、青山 げつふくむ」(綠潭倒雲氣、青山銜月眉)とある。月眉は、眉のような月。三日月。ウィキソース「秋夜 (蕭綱)」参照。
  • 忽 … いつの間にか。ふと気がつけば。
  • 曙 … 夜が明ける。
鳥雀繞舍鳴
鳥雀ちょうじゃく しゃめぐりて
  • 鳥雀 … 雀などの小鳥。
  • 舎 … 小さい粗末な家。ここでは幽居の住まいを指す。
  • 繞 … まわりを回る。
時與道人偶
とき道人どうじんぐう
  • 時 … 時には。
  • 道人 … 道を修行している人。僧侶。または道教の道士。
  • 偶 … 連れ立つ。二人連れとなる。
或隨樵者行
あるいはしょうしゃしたがって
  • 樵者 … きこり。
自當安蹇劣
みずかまさ蹇劣けんれつやすんずべし
  • 当 … 「まさに~べし」と読み、「当然~するべきだろう」と訳す。再読文字。
  • 蹇劣 … 動きが鈍く、劣っている人。ここでは世渡りの才能がない人。世渡りのへたな人。
  • 劣 …『全唐詩』等には「一作拙」と注する。
  • 安 … 満足する。甘んじる。
誰謂薄世榮
たれ世栄せいえいうすんずとわん
  • 世栄 … 俗世における名誉。
  • 薄 … 軽んじる。軽視する。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻一(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻一百九十三(排印本、中華書局、1960年)
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