登楼寄王卿(韋応物)
登樓寄王卿
楼に登って王卿に寄す
楼に登って王卿に寄す
- 〔テキスト〕 『唐詩選』巻七、『全唐詩』巻一百八十八、『韋江州集』巻三(『四部叢刊 初編集部』所収)、『韋蘇州集』巻十(『唐五十家詩集』所収)、『韋蘇州集』巻三(『四部備要 集部』所収)、『(須溪先生校本)韋蘇州集』巻三(宝永三年刊本、『和刻本漢詩集成 唐詩8』所収、汲古書院、1975年)、『唐詩品彙』巻四十九、『唐詩別裁集』巻二十、趙宦光校訂/黄習遠補訂『万首唐人絶句』巻十六(万暦三十五年刊、内閣文庫蔵)、『古今詩刪』巻二十二(寛保三年刊、『和刻本漢詩集成 総集篇9』所収、62頁)、『御覧詩』、他
- 七言絶句。同・窮・中(平声東韻)。
- ウィキソース「登樓寄王卿」参照。
- 登楼 … 高殿に登ること。
- 王卿 … 王某。作者の親しい友人と思われるが、人物については不明。卿は、官吏仲間の敬称。
- 寄 … 詩を人に託して送り届けること。「贈」は、詩を直接手渡すこと。
- この詩は、作者がどこかの高殿に登ったときの感慨を、友人の王卿に書き送ったもの。滁州刺史の時の作。
- 韋応物 … 736~791?。中唐の詩人。長安(陝西省西安市)の人。滁州(安徽省)刺史や江州(江西省)刺史等を歴任したが、最後の官が蘇州刺史だったので、韋蘇州と呼ばれた。自然を対象とした詩が多く、自然詩人といわれた。『韋江州集』十巻、『韋蘇州集』十巻がある。ウィキペディア【韋応物】参照。
踏閣攀林恨不同
閣を踏み 林に攀じて 同じうせざるを恨む
- 踏閣 … 楼閣に登ること。踏は、登る。また、閣を台閣(朝廷)とし、朝廷で活躍するという解釈もある。
- 攀林 … 楼閣が林の中にあるため、その坂道をよじ登ること。攀は、手で物につかまって登ること。謝霊運の「斤竹澗より嶺を越えて渓行す」(『文選』巻二十二)に「石に企てて飛泉を挹み、林に攀じて葉巻を擿む」(企石挹飛泉、攀林擿葉卷)とある。ウィキソース「從斤竹澗越嶺溪行」参照。
- 林 … 『御覧詩』では「枝」に作る。
- 恨不同 … 君と一緒でないのが残念である。
楚雲滄海思無窮
楚雲滄海 思い窮まり無し
- 楚雲 … 楚の空に浮かぶ雲。楚の地。作者がいるところ。
- 滄海 … 大海原。王卿がいるところ。
- 思無窮 … わが思いは遠く広がって、果てしもない。
數家砧杵秋山下
数家の砧杵 秋山の下
- 数家 … 数軒。
- 砧杵 … 冬着を作るための、布を打つ砧の音。晩秋の風物。砧は、布を打つときに下に敷く木や石の台。杵は、布地を叩くつち。南朝梁の何遜の「贈族人秣陵兄弟」(『古詩紀』巻九十三)に「砧杵四隣に鳴る」(砧杵鳴四隣)とある。ウィキソース「古詩紀 (四庫全書本)/卷093」参照。
- 秋山下 … 秋深まる山の麓。
一郡荊榛寒雨中
一郡の荊榛 寒雨の中
こちらもオススメ!
歴代詩選 | |
古代 | 前漢 |
後漢 | 魏 |
晋 | 南北朝 |
初唐 | 盛唐 |
中唐 | 晩唐 |
北宋 | 南宋 |
金 | 元 |
明 | 清 |
唐詩選 | |
巻一 五言古詩 | 巻二 七言古詩 |
巻三 五言律詩 | 巻四 五言排律 |
巻五 七言律詩 | 巻六 五言絶句 |
巻七 七言絶句 |
詩人別 | ||
あ行 | か行 | さ行 |
た行 | は行 | ま行 |
や行 | ら行 |