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寄李儋元錫(韋応物)

寄李儋元錫
李(り)儋(たん)・元錫(げんせき)に寄(よ)す
韋(い)応(おう)物(ぶつ)
  • 〔テキスト〕 『唐詩三百首』七言律詩、『全唐詩』巻一百八十八、『韋江州集』巻三(『四部叢刊 初編集部』所収)、『韋蘇州集』巻九(『唐五十家詩集』所収)、『韋蘇州集』巻三(『四部備要 集部』所収、中華書局)、他
  • 七言律詩。年・眠・錢・圓(下平声先韻)。
  • ウィキソース「寄李儋元錫」参照。
  • 興元元年(784)春、滁(じょ)州(しゅう)の刺史であったときの作。
  • 李儋 … 作者の友人。字(あざな)は幼遐。殿中侍御史の官にあった。それ以上のことについては不詳。
  • 元錫 … 作者の友人。字(あざな)は君貺。李儋と同じく殿中侍御史の官にあった。それ以上のことについては不詳。
  • 寄 … 詩を人に託して送り届けること。ちなみに「贈」は、詩を直接手渡すこと。
  • 韋応物 … 736~791?。中唐の詩人。長安(陝西(せんせい)省西安市)の人。字(あざな)は不詳。滁(じょ)州(しゅう)(安徽省)刺史(州の長官)や江州(江西省)刺史等を歴任したが、最後の官が蘇州刺史だったので、韋蘇州と呼ばれた。自然を対象とした詩が多く、自然詩人といわれた。『韋江州集』十巻、『韋蘇州集』十巻がある。ウィキペディア【韋応物】参照。
去年花裏逢君別
去年(きょねん) 花(はな)の裏(うち)に君(きみ)に逢(あ)いて別(わか)る
  • 花裏 … 「花裏(かり)」と読んでもよい。花の咲く中で。花の咲く頃。裏は、うち。中。
  • 君 … 君たち。李儋・元錫を指す。
今日花開又一年
今日(こんにち) 花(はな)開(ひら)いて又(また)一年(いちねん)
  • 又 … 『全唐詩』等では「已」に作る。
  • 又一年 … 『韋蘇州集』(『唐五十家詩集』所収)では「已半年」に作る。
世事茫茫難自料
世(せい)事(じ)茫茫(ぼうぼう)として自(みずか)ら料(はか)るに難(かた)く
  • 世事 … 世の中のいとなみ。世の中のこと。
  • 茫茫 … ぼうっとしてとりとめのない様子。
  • 難自料 … 自分で判断することが難しい。
春愁黯黯獨成眠
春愁(しゅんしゅう)黯黯(あんあん)として独(ひと)り眠(ねむ)りを成(な)す
  • 春愁 … 春の愁い。春の日の憂鬱な気分。
  • 黯黯 … 気が滅入るさま。心が晴れないさま。『全唐詩』には「一作忽忽」と注する。
  • 独成眠 … ひとり眠ってしまう。
身多疾病思田里
身(み)に疾病(しっぺい)多(おお)くして田(でん)里(り)を思(おも)い
  • 身多疾病 … 私の身体は病気がちで。
  • 思田里 … 故郷に帰りたいと思う。田里は、村里。故郷。
邑有流亡愧俸錢
邑(ゆう)に流(りゅう)亡(ぼう)有(あ)りて俸銭(ほうせん)を愧(は)ず
  • 邑 … 村。ここでは作者の任地の村々を指す。
  • 流亡 … 飢饉などのために土地を捨て、各地をさすらい歩くこと。
  • 愧俸銭 … 「俸銭(ほうせん)に愧(は)ず」と読んでもよい。流民が出ており、官吏として給料をもらっていることを恥ずかしく思う。俸銭は、俸給として支払われる金銭。給金。愧は、恥じる。
聞道欲來相問訊
聞(きく)道(な)らく 来(きた)りて相(あい)問訊(もんじん)せんと欲(ほっ)す
  • 聞道 … 「きくならく」と読み、「聞くところによれば」「聞けば」と訳す。「聞説」とも書く。北周の庾信の詩「詠懐に擬す二十七首」の第十七首に「聞(きく)道(な)らく 楼船(ろうせん)戦いて、今年囲(かこ)みを解かずと」(聞道樓船戰、今年不解圍)とある。楼船は、楼船兵を統率する役職名。楼船将軍。ウィキソース「古詩紀 (四庫全書本)/卷125」参照。
  • 問訊 … 訪ねる。訪問する。
  • 欲来相問訊 … 君たち(李儋・元錫)がやって来て、私を訪問してくれるとのことだが。
西樓望月幾囘圓
西楼(せいろう)に月(つき)を望(のぞ)みて幾回(いくかい)か円(まど)かなる
  • 西楼 … この町の西にある楼閣。
  • 幾回円 … (月が)何回丸くなったであろうか。または、何回丸くなるまで待つことになろうか。
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