南礀中題(柳宗元)
南礀中題
南礀中にて題す
南礀中にて題す
- 五言古詩。時・差・疲・漪・垂・宜・知・期(平声支韻)。
- 柳宗元 … 773~819。中唐の文人・政治家。河東(山西省永済県)の人。字は子厚。貞元九年(793)、劉禹錫とともに進士に及第。校書郎、藍田県(陝西省)尉、監察御史裏行を歴任。政治改革に乗り出したが失脚。辺地に左遷され、柳州(広西チワン族自治区柳州市)で死去した。唐宋八大家のひとり。韓愈とともに古文復興につとめた。詩においては王維・孟浩然・韋応物らと同様、自然をうたった詩が優れている。ウィキペディア【柳宗元】参照。
秋氣集南礀
秋気 南礀に集まる
- 南礀 … 南の谷川。礀は澗と同じ。
獨遊亭午時
独り遊ぶ 亭午の時
- 亭午 … 停午。正午。
廻風一蕭瑟
廻風 一えに蕭瑟
- 廻風 … 回風。つむじ風。
- 蕭瑟 … 物寂しいさま。
林景久參差
林景 久しく参差たり
- 林景 … 林の影。景は影に同じ。
- 参差 … 長短の差が目立ってふぞろいなようす。
始至若有得
始めて至るに得る有るがごとく
稍深遂忘疲
稍深くして遂に疲れを忘る
羈禽響幽谷
羈禽 幽谷に響き
- 羈禽 … つれを離れた鳥。
寒藻舞淪漪
寒藻 淪漪に舞う
- 寒藻 … 寒々とした水草。
- 淪漪 … さざ波。淪猗。
去國魂已遠
国を去って魂已に遠く
- 国 … 都長安を指す。
- 遠 … 『全唐詩』には「一作游」という注あり。
懷人淚空垂
人を懐うて涙空しく垂る
孤生易爲感
孤生 感を為し易く
- 孤生 … ひとりぼっちの生活。
- 感 … 感傷的。
失路少所宜
失路 宜しき所少なし
- 失路 … 人生行路をまちがえる。
索寞竟何事
索寞 竟に何をか事とせん
- 索寞 … うらぶれたさびしさ。
徘徊祇自知
徘徊 祇だ自ら知る
- 徘徊 … あてもなくさまよう。
誰爲後來者
誰か後来の者と為り
當與此心期
当に此の心と期すべき
- 期 … 一致すること。
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