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行くに閾を履まず

くにしきいまず
  • 出典:『論語』郷党第十4(ウィキソース「論語/鄉黨第十」参照)
  • 解釈:門を通るときは、敷居を踏まないでまたいで通る。孔子が参内さんだいするときの様子を記したもの。
  • 論語 … 孔子(前552~前479)とその門弟たちの言行録。四書の一つ。十三経の一つ。二十編。儒家の中心的経典。我が国へは応神天皇の代に伝来したといわれている。ウィキペディア【論語】参照。
入公門、鞠躬如也。如不容。立不中門。行不履閾。過位、色勃如也、足躩如也。其言似不足者。攝齊升堂、鞠躬如也。屛氣似不息者。出降一等、逞顏色、怡怡如也。沒階、趨進翼如也。復其位、踧踖如也。
公門こうもんるに、きくきゅうじょたり。れられざるがごとし。つにもんちゅうせず。くにしきいまず。くらいぐるに、いろ勃如ぼつじょたり、あし躩如かくじょたり。げんらざるものたり。もすそかかげてどうのぼるに、きくきゅうじょたり。おさめていきせざるものたり。でて一等いっとうくだれば、がんしょくはなちて、怡怡いいじょたり。かいくせば、はしすすむこと翼如よくじょたり。くらいかえれば、しゅくせきじょたり。
  • 公門 … 宮廷の一番外の門。
  • 鞠躬如 … 身をかがめて恐れつつしむさま。「如」は「~という様子」の意。
  • 如不容 … 自分の身体が入りかねるように、敬虔な様子をする。
  • 不中門 … 門の中央には立たない。中央は君主の通り道である。
  • 不履閾 … 門を通るときは、敷居を踏まないでまたいで通る。
  • 位 … 君主の御座所。
  • 勃如 … ぱっと緊張した顔色になる。
  • 躩如 … 小刻みにうやうやしく歩くさま。
  • 其言似不足者 … その言葉は寡黙であった。
  • 摂斉 … 衣の裾をかかげる。
  • 升堂 … 堂に上る。
  • 屏気 … 息をとめる。
  • 不息 … 呼吸しない。
  • 出降一等 … 堂を出て階段を一段降りる。
  • 逞 … ゆるめる。
  • 怡怡如 … 安らかな、晴れやかな、楽しげなさま。
  • 没階 … 階段を降りきる。
  • 趨進 … 小走りに進む。
  • 復其位 … 「自分の席に戻る」という説と、「君主の御座所を再び通り過ぎる」という説の二つの解釈に分かれる。
  • 踧踖如 … 慎み深く、うやうやしいさま。
  • 詳しい注釈と現代語訳については「郷党第十4」参照。
あ行 か行 さ行
た行 な行 は行
ま行 や行 ら行・わ
論語の名言名句