>   故事成語   >   や行   >   世と推移す

世と推移す

すい
  • 出典:『楚辞』漁父(ウィキソース「漁父」参照)
  • 解釈:世の中の風潮に従って生きること。世俗に合わせて生きること。
  • 楚辞 … 戦国時代末、の国の屈原くつげんおよび、その弟子や後人の辞を集めた歌謡集。初めに前漢の劉向りゅうきょうが『楚辞』(十六巻)を編纂し、さらに後漢の王逸おういつが注釈を施し、自作の「九思」を加えて『楚辞章句』(十七巻)を編纂した。形式の特色の一つとして句の中に「けい」という字が用いられており、これは語調を整えるための助辞である。ウィキペディア【楚辞】参照。
漁父曰、聖人不凝滯於物、而能與世推移
ぎょいわく、聖人せいじんものぎょうたいせずして、すいす。
  • 聖人 … 物事の道理に達した人。ここでは儒教的な聖人君子ではなく、老荘的な無為自然の道に達した人のことであろう。
  • 凝滞 … 物事に執着する。こだわる。拘泥する。
  • 世 … 世間。
  • 推移 … 移り変わる。世の中の動きに合わせて、自分の生き方も変えることができる。
世人皆濁、何不淈其泥而揚其波。
じんみなにごらば、なんどろにごしてなみげざる。
  • 何 … 「なんぞ」と読み、「どうして~か」と訳す。疑問の意を示す。
  • 淈其泥 … その泥をかき回して、にごす。「淈」は、ひっかき回す。にごす。汚れた世と一緒に生きていくこと。
  • 揚其波 … 濁った波を揚げようとしないのか。汚れた世間の人に同調すること。
衆人皆醉、何不餔其糟而歠其醨。
しゅうじんみなわば、なんかすくらいてすすらざる。
  • 餔其糟 … 世間の人が酔ったその酒かすを食べる。「糟」は、酒かす。「餔」は、食べる。世間の人と同じ行動をとること。
  • 歠其醨 … その薄い酒をすする。「醨」は、上ずみの酒。薄い酒。「歠」は、すする。世間の人ほどは酔わないが、自分を見失わない程度に同調すること。
何故深思髙舉、自令放爲。
なんゆえふかおもたかあがりて、みずかはなたれしむるをすや、と。
  • 何故 … どういうわけで。
  • 深思 … 国家の現状や君主のことを深刻に思い憂えること。
  • 高挙 … 俗世間を逃れて高潔な行動をすること。「挙」は、挙動。
  • 自令放為 … 自分から追放を招くようなことをされたのですか。「令」は、使役。
あ行 か行 さ行
た行 な行 は行
ま行 や行 ら行・わ
論語の名言名句