桃源郷


桃源郷
- 出典:陶淵明「桃花源記」(ウィキソース「桃花源記」参照)
- 解釈:理想郷。別天地。ユートピア。俗世間を離れた平和な世界。「桃源」「武陵桃源」も同じ。
- 陶淵明 … 365~427。東晋末の詩人。潯陽(江西省九江市)の人。名は潜、字は淵明、一説には元亮ともいわれる。五柳先生と号した。後世の人々から靖節先生という諡を賜った。四十一歳のとき、彭沢県の県令となったが八十日で辞任し、「帰去来の辞」を作って帰郷した。以後は出仕することなく、隠逸詩人として田園生活を送った。その詩は唐代になって多くの詩人に多大な影響を与えた。ウィキペディア【陶淵明】参照。
晉太元中、武陵人捕魚爲業。
晋の太元中、武陵の人、魚を捕うるを業と為す。
- 晋太元中 … 東晋の太元年間。376年~396年。
- 武陵 … 湖南省常徳県の西。
- 業 … 生業。
縁溪行、忘路之遠近。
渓に縁りて行き、路の遠近を忘る。
- 渓 … 谷川。
- 縁 … 沿って。
- 遠近 … 距離の遠さと近さ。
忽逢桃花林、夾岸數百歩、中無雜樹、芳草鮮美、落英繽紛。
忽ち桃花の林に逢う、岸を夾むこと数百歩、中に雑樹無く、芳草鮮美にして、落英繽紛たり。
- 桃花林 … 桃の花が咲いた林。
- 無雑樹 … 雑樹は、いろいろな種類がまじった立ち木。ここでは桃以外の木が一本もない様子。
- 芳草 … よい香りのする草花。
- 鮮美 … いきいきと色あざやかで美しい。
- 落英繽紛 … 落花が乱れ散るさま。
漁人甚異之。
漁人甚だ之を異しむ。
- 漁人 … 漁師。
- 異 … あやしむ。不思議だと思う。
復前行、欲窮其林。
復た前み行きて、其の林を窮めんと欲す。
林盡水源、便得一山。山有小口、髣髴若有光。
林は水源に尽き、便ち一山を得たり。山に小口有り、髣髴として光有るが若し。
便捨船、從口入。初極狹、纔通人。
便ち船を捨てて、口より入る。初めは極めて狭く、纔かに人を通すのみ。
復行數十步、豁然開朗。土地平曠、屋舍儼然。
復た行くこと数十歩、豁然として開朗なり。土地は平曠にして、屋舎は儼然たり。
- 豁然 … ぱっと目の前がひらける様子。
- 儼然 … きちんと整っているさま。
有良田美池桑竹之屬。阡陌交通、鷄犬相聞。
良田・美池・桑竹の属有り。阡陌交わり通じ、鶏犬相聞こゆ。
- 阡陌 … あぜ道。
其中往來種作、男女衣著、悉如外人。黃髮垂髫、並怡然自樂。
其の中に往来し種作する男女の衣著は、悉く外人の如し。黄髪・垂髫、並びに怡然として自ら楽しめり。
- 垂髫 … おさげ髪の子ども。
- 怡然 … なごやかに喜び、楽しげなさま。
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