先鞭を著ける
- 出典:『晋書』劉琨伝(ウィキソース「晉書/卷062」参照)
- 解釈:他人より先に物事に着手することの喩え。「先鞭」は、人より先に馬に鞭を打って、功名を立てようとすること。「先鞭を著く」とも。
- 晋書 … 二十四史の一つ。帝紀十巻、志二十巻、列伝七十巻、載記(五胡十六国の歴史)三十巻の全百三十巻。唐の房玄齢・李延寿らの編。貞観二十二年(648)頃成立。ウィキペディア【晋書】参照。
- 劉琨 … 270~318。西晋末から五胡十六国時代にかけての政治家・武将。魏昌(今の河北省石家荘市無極県)の人。官は都督并冀幽三州諸軍事に至る。広武侯に封ぜらる。ウィキペディア【劉琨】参照。
琨少負志氣、有縱橫之才。善交勝己、而頗浮誇。
琨、少くして志気を負い、縦横の才有り。善く己に勝れるものに交わり、而も頗る浮誇なり。
- 志気 … 物事をしとげようとする気持ち。
- 縦横 … 自由自在。思いのままに振る舞うこと。
- 頗 … 非常に。たいそう。
- 浮誇 … むやみに驕り高ぶること。浮ついていて大げさなこと。
與范陽祖逖爲友、聞逖被用、與親故書曰、吾枕戈待旦、志梟逆虜、常恐祖生先吾著鞭。其意氣相期如此。
范陽の祖逖と友為り、逖の用いらるるを聞き、親故に書を与えて曰く、吾、戈を枕にして旦を待ち、逆虜を梟せんと志し、常に祖生の吾に先んじて鞭を著けんことを恐る、と。其の意気相期すること此の如し。
- 范陽 … 古地名。今の河北省保定市から北京市一帯を指す。ウィキペディア【范阳】(中文)参照。
- 祖逖 … 266~321。東晋の武将。字は士稚。元帝に仕え、後趙の石勒の軍を破り、黄河以南の地を回復させた。ウィキペディア【祖逖】参照。
- 被用 … ここでは、官吏に任用されるの意。
- 親故 … 親戚故旧。親戚の者と昔なじみの人。
- 戈 … ほこ。武器の一種。諸刃の剣状の刃物に長い柄を付けたもの。
- 旦 … あした。日の出。日の出る頃。
- 逆虜 … 国に刃向かう者。逆徒。
- 梟 … さらし首にする。
- 祖生 … 祖逖のこと。
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