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君子の道は、孰れをか先にして伝え、孰れをか後に倦まん

くんみちは、いずれをかさきにしてつたえ、いずれをかのちまん
  • 出典:『論語』子張第十九12(ウィキソース「論語/子張第十九」参照)
  • 解釈:君子になるための道は、何を先に教え、何は面倒だから後回しするというようなものではない。弟子の能力に従い、段階的に教えるべきである。弟子の教育法についての子夏の言葉(解釈に諸説あり)。
  • 論語 … 孔子(前552~前479)とその門弟たちの言行録。四書の一つ。十三経の一つ。二十編。儒家の中心的経典。我が国へは応神天皇の代に伝来したといわれている。ウィキペディア【論語】参照。
子游曰、子夏之門人小子、當洒埽應對進退、則可矣。抑末也。本之則無。如之何。子夏聞之曰、噫、言游過矣。君子之道、孰先傳焉、孰後倦焉。譬諸草木區以別矣。君子之道、焉可誣也。有始有卒者、其唯聖人乎。
ゆういわく、子夏しか門人もんじんしょうは、洒埽さいそう応対おうたい進退しんたいあたりては、すなわなり。抑〻そもそもすえなり。これもとづくればすなわし。これ如何いかん子夏しかこれきていわく、ああ言游げんゆうあやまてり。くんみちは、いずれをかさきにしてつたえ、いずれをかのちまん。これ草木そうもくにしてもっべつあるにたとう。くんみちは、いずくんぞけんや。はじおわものは、聖人せいじんか。
  • 子游 … 前506~前443?。姓はげん、名はえん、子游はあざな。呉の人。孔門十哲のひとり。「文学には子游・子夏」といわれ、子夏とともに文章・学問に優れているとされた。武城の町の宰(長官)となった。ウィキペディア【子游】参照。
  • 子夏 … 前507?~前420?。姓はぼく、名は商、あざなは子夏。衛の人。孔子より四十四歳年少。孔門十哲のひとり。「文学には子游・子夏」といわれ、子游とともに文章・学問に優れていた。ウィキペディア【子夏】参照。
  • 小子 … 年少者。
  • 洒埽 … 掃除。「洒」は、水をまいて掃除すること。「埽」は、掃くこと。「掃」に同じ。
  • 応対 … 来客への接待。
  • 進退 … 立ち居振舞い。挙止。
  • 可矣 … よくできる。
  • 抑 … 「そもそも」と読み、「しかしながら」「そうではあるが」「それとも」と訳す。話題や内容を転換する意を示す。
  • 末 … 瑣末なこと。
  • 本 … 倫理の根本。本質的なこと。
  • 噫 … ああ。嘆息をあらわす。
  • 言游 … 「言」は、子游の姓。
  • 孰 … 「いずれをか」と読み、「どちらを~」と訳す。
  • 後倦 … 面倒なので、後回しにすること。
  • 区以別 … 種類によって区別し、別々に植えること。
  • 誣 … 欺く。ごまかす。曲解する。
  • 有始有卒 … 始めから終わりまで。「始」は「本」、「卒」は「末」を指す。
  • 詳しい注釈と現代語訳については「子張第十九12」参照。
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た行 な行 は行
ま行 や行 ら行・わ
論語の名言名句