槿花一日の栄
槿花一日の栄
- 出典:白居易「放言五首 其の五」(『白氏文集』巻十五、『全唐詩』四百三十八、ウィキソース「放言五首 (白居易)」参照)
- 解釈:人の世のはかない栄華の喩え。「槿花」は、槿の花。朝開いて夕方にはしぼむ。ウィキペディア【ムクゲ】参照。
- 白居易 … 772~846。中唐の詩人。字は楽天、号は香山居士。貞元十六年(800)、進士に及第。翰林学士、左拾遺などを歴任後、江州(江西省九江)司馬に左遷された。のち中央に復帰し、最後は刑部尚書の肩書で退官した。詩風は平易を第一とした。詩文集『白氏文集』は平安時代に我が国へ伝えられ、日本文学に多大な影響を与えた。ウィキペディア【白居易】参照。
- 放言 … 他人に遠慮しないで、言いたい放題に言うこと。
泰山不要欺毫末
泰山は 毫末を欺くを要せず
- 泰山 … 山東省にある名山。当時、斉と魯の国境にあった。ウィキペディア【泰山】参照。
- 毫末 … 毛の先端。ごくわずかなものの喩え。
- 不要欺 … 侮ろうとはしない。馬鹿にしたりはしない。
顏子無心羨老彭
顔子は 老彭を羨むに心無し
松樹千年終是朽
松樹千年なるも 終に是れ朽ち
- 松樹 … 松の木。
- 千年 … 樹齢が千年もあるが。
- 終是朽 … やがては枯れ朽ちる。
槿花一日自爲榮
槿花一日なるも 自ら栄を為す
- 槿花 … むくげの花。
- 一日 … 一日の寿命しかないが。
- 自為栄 … それはそれで華やかに咲き誇る。
何須戀世常憂死
何ぞ須いん 世を恋いて常に死を憂うることを
- 何須 … どうして~する必要があろうか、いやその必要はない。反語。
- 恋世 … 俗世を恋い慕って。
- 常憂死 … いつも死を苦にする。
亦莫嫌身漫厭生
亦た身を嫌いて 漫りに生を厭うこと莫かれ
- 嫌身 … 我が身を憎悪して。
- 莫~漫厭生 … むやみに生を嫌ってはいけない。「漫」は、むやみやたらに行動するさま。
生去死來都是幻
生去死来 都て是れ幻
- 生去死来 … 生まれたり死んだりすること。生も死も。
- 都是幻 … すべて幻である。
幻人哀樂繫何情
幻人の哀楽 何の情にか繫けん
- 幻人 … 幻である人間。
- 哀楽 … 悲しみと楽しみ。
- 繫何情 … (現実の)感情とどんな関係があるというのか。
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