• 出典：『論語』陽貨第十七7（ウィキソース「論語/陽貨第十七」参照）
• 解釈：本当に白いものは、黒く染めようとしても黒くならない。しっかりした人物は、悪い環境にいてもそれに染まることはないことの喩え。晋（しん）の大夫趙（ちょう）簡（かん）子（し）の家臣で、中（ちゅう）牟（ぼう）（今の河南省鄭州市中牟県）の代官をしていた仏肸（ひつきつ）が反乱を起こして孔子を招いた。孔子はその招きに応じようとしたが子路に反対されたときの言葉。「涅」も「緇」も、黒く染めること。

仏肸（ひつきつ）召（め）す。子（し）往（ゆ）かんと欲（ほっ）す。子路（しろ）曰（いわ）く、昔者（むかし）由（ゆう）や諸（これ）を夫（ふう）子（し）に聞（き）けり。曰（いわ）く、親（みずか）ら其（そ）の身（み）に於（お）いて不（ふ）善（ぜん）を為（な）す者（もの）には、君（くん）子（し）は入（い）らざるなりと。仏肸（ひつきつ）中（ちゅう）牟（ぼう）を以（もっ）て畔（そむ）く。子（し）の往（ゆ）くや之（これ）を如何（いかん）と。子（し）曰（いわ）く、然（しか）り。是（こ）の言（げん）有（あ）るなり。堅（かた）きを曰（い）わずや、磨（ま）すれども磷（うすろ）がずと。白（しろ）きを曰（い）わずや、涅（でつ）すれども緇（くろ）まずと。吾（われ）豈（あ）に匏（ほう）瓜（か）ならんや。焉（いず）くんぞ能（よ）く繫（かか）りて食（くら）われざらんや。