敗軍の将は兵を語らず

敗軍（はいぐん）の将（しょう）は兵（へい）を語（かた）らず

出典：『史記』淮陰侯列伝（ウィキソース「史記/淮陰侯列傳」参照）
解釈：失敗した者は、その事について意見を述べる資格がない。

史記 … 前漢の司馬遷がまとめた歴史書。二十四史の一つ。事実を年代順に書き並べる編年体と違い、人物の伝記を中心とする紀伝体で編纂されている。本紀十二巻、表十巻、書八巻、世家三十巻、列伝七十巻の全百三十巻。ウィキペディア【史記】参照。

於是信問廣武君曰、僕欲北攻燕、東伐齊。何若而有功。

是（ここ）に於（お）いて信（しん）、広（こう）武（ぶ）君（くん）に問（と）いて曰（いわ）く、僕（ぼく）、北（きた）のかた燕（えん）を攻（せ）め、東（ひがし）のかた斉（せい）を伐（う）たんと欲（ほっ）す。何若（いかん）せば功（こう）有（あ）らん、と。

信 … 前漢の高祖の名将、韓信。？～前196。淮陰（わいいん）（江蘇省）の人。高祖を助け、漢の建国に貢献した。統一後は楚王に封ぜられたが、のち淮陰侯に左遷され、反逆を疑われて殺された。蕭何・張良とともに「漢の三傑」の一人。ウィキペディア【韓信】参照。
広武君 … 秦末、趙の軍師、李左車。ウィキペディア【李左車】参照。

廣武君辭謝曰、臣聞、敗軍之將、不可以言勇。亡國之大夫、不可以圖存。今臣敗亡之虜。何足以權大事乎。

広（こう）武（ぶ）君（くん）、辞（じ）謝（しゃ）して曰（いわ）く、臣（しん）聞（き）く、敗軍（はいぐん）の将（しょう）は以（もっ）て勇（ゆう）を言（い）う可（べ）からず。亡国（ぼうこく）の大（たい）夫（ふ）は以（もっ）て存（そん）するを図（はか）る可（べ）からず。今（いま）、臣（しん）は敗亡（はいぼう）の虜（りょ）なり。何（なん）ぞ以（もっ）て大（だい）事（じ）を権（はか）るに足（た）らんや、と。

辞謝 … 断りの言葉をのべて辞退する。
虜 … 捕虜。

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