宿建徳江(孟浩然)
宿建德江
建徳江に宿る
建徳江に宿る
- 〔テキスト〕 『唐詩三百首』五言絶句、『全唐詩』巻一百六十、『孟浩然詩集』巻下(宋蜀刻本唐人集叢刊、略称:宋本)、『孟浩然集』巻四(『四部叢刊 初編集部』所収)、『孟浩然集』巻四(『四部備要 集部』所収、略称:四部備要本)、『孟浩然集』巻三(『唐五十家詩集』所収)、『孟浩然詩集』(元文四年刊、『和刻本漢詩集成 唐詩1』所収、153頁、略称:元文刊本)、『孟浩然詩集』巻中(元禄三年刊、『和刻本漢詩集成 唐詩1』所収、175頁、略称:元禄刊本)、『文苑英華』巻二百九十一、『唐詩品彙』巻三十九、『唐百家詩選』巻一、他
- 五言絶句。新・人(平声真韻)。
- ウィキソース「宿建德江」「孟浩然集 (四部叢刊本)/卷第四」参照。
- 詩題 … 『宋本』『文苑英華』では「建徳江宿」に作る。
- 建徳江 … 浙江省を流れる川の名。銭塘江の中流にあたる。
- 宿 … 舟宿りする。
- 孟浩然 … 689~740。盛唐の詩人。襄陽(湖北省)の人。名は浩、浩然は字。若い頃、科挙に及第できず、諸国を放浪した末、郷里の鹿門山に隠棲した。四十歳のとき、都に出て張九齢や王維らと親交を結んだが、仕官はできなかった。その後、張九齢が荊州(湖北省)の長史(地方長官の属官)に左遷されたとき、招かれて従事(輔佐官)となったが、まもなく辞任し、江南を放浪した末、郷里に帰ってまた隠棲生活に入り、一生を終えた。多く自然を歌い、王維と並び称される。「春眠暁を覚えず」で始まる「春暁」が最も有名。『孟浩然集』四巻がある。ウィキペディア【孟浩然】参照。
移舟泊煙渚
舟を移して煙渚に泊す
- 移舟 … 舟を岸に寄せる。
- 煙 … 『全唐詩』には「一作幽」とある。『文苑英華』では「幽」に作り、「集作煙」とある。『唐五十家詩集本』『唐百家詩選』では「滄」に作る。『唐詩三百首』『四部叢刊本』『元文刊本』では「烟」に作る。異体字。
- 煙渚 … 夕もやの立ちこめる波うちぎわ。
日暮客愁新
日暮れて客愁新たなり
- 客愁 … 旅愁。「客」は、旅人の意。
野曠天低樹
野曠くして 天は樹に低れ
- 曠 … 広々としている。
- 低樹 … 木々に低く垂れ下がる。
江清月近人
江清くして 月は人に近し
- 江 … 川。
- 清 … 澄む。
- 月近人 … 月が間近に感じられる。また、水に映った月影が近くに感じられる、とする説もある。
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