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送司馬道士遊天台(宋之問)

送司馬道士遊天台
司馬(しば)道(どう)士(し)の天台(てんだい)に遊(あそ)ぶを送(おく)る
宋(そう)之(し)問(もん)
  • 七言絶句。違・飛・歸(上平声微韻)。
  • ウィキソース「送司馬道士遊天台」「宋之問集 (四部叢刊本)/下」参照。
  • 詩題 … 『四部叢刊本』『前唐十二家詩本』では「送司馬道遊天台」に作る。
  • 司馬道士 … 唐代の有名な道士(道教の僧侶)、司馬承(しょう)禎(てい)(643~735)のこと。司馬は姓、字(あざな)は子微、白雲子と号した。ウィキペディア【司馬承禎】参照。
  • 天台 … 天台山。浙江省天台県の北にある。ウィキペディア【天台山】参照。
  • この詩は、朝廷に招かれていた司馬道士が天台山へ帰ることになり、百官たちが送別の宴を盛大に開いたときに詠んだもの。
  • 宋之問 … 656?~712。初唐の詩人。字(あざな)は延清。汾(ふん)州(山西省汾陽市)の人。一説に虢(かく)州弘農県(河南省霊宝市)の人。上元二年(675)、進士に及第。則天武后に召されて楊炯(ようけい)とともに習芸館の学士となる。尚(しょう)方(ほう)監(かん)丞(じょう)、左(さ)奉(ほう)宸内(しんない)供奉(ぐぶ)などを歴任した。玄宗の先天元年(712)、自殺を命じられて死んだ。沈佺期とともに七言律詩の定型を作り出し、「沈宋」と呼ばれた。『宋之問集』二巻がある。ウィキペディア【宋之問】参照。
羽客笙歌此地違
羽(う)客(かく)の笙(しょう)歌(か) 此(こ)の地(ち)に違(たが)い
  • 羽客 … 道士のこと。仙人は羽がはえて空中を飛ぶといわれるので、道士の衣を羽衣に喩える。羽(う)人(じん)ともいう。
  • 笙歌 … 笙(管楽器の一種)の音に合わせて歌うこと。司馬道士は音律に明るかったという。
  • 違 … 離れ去ること。『文苑英華』では「圍」に作る。
離筵數處白雲飛
離(り)筵(えん)数処(すうしょ) 白雲(はくうん)飛(と)ぶ
  • 離筵 … 送別の宴席。離宴。
  • 数処 … あちらこちらに。
  • 白雲飛 … 後漢の道士薊(けい)子(し)訓(くん)は、神異の術を使う人であったが去っていくとき、白雲があちこちに沸き起こったという故事を踏まえる。司馬道士は仙術を修めた人であり、号を白雲子というので、この故事を用いている。『後漢書』方術伝に「初(はじ)め去(さ)るの日(ひ)、唯(た)だ白雲(はくうん)の騰(とう)起(き)するを見(み)る。旦(あした)より暮(くれ)に至(いた)る。是(かく)の如(ごと)きもの数十処(すうじっしょ)」(初去之日、唯見白雲騰起。從旦至暮。如是數十處)とある。ウィキソース「後漢書/卷82下」参照。
蓬萊闕下長相憶
蓬萊(ほうらい)闕(けっ)下(か) 長(なが)く相(あい)憶(おも)うも
  • 蓬萊闕下 … 蓬萊宮の宮門のあたり。蓬萊は、もとは仙人が住む島の意だが、ここでは宮殿の名、蓬萊宮。東の内(だい)裏(り)大明宮の別名。司馬道士に縁のある言葉をあえて用いている。闕は、宮殿の門のこと。
  • 長相憶 … いつまでもあなたのことを思われることでありましょうが。
  • 相 … ここでは「互いに」という意味ではなく、動作に対象があることを示す接頭語。「(対象に)~する」「(対象を)~する」と訳す。『文苑英華』では「思」に作る。
  • 憶 … 思う。追憶する。天子が司馬道士を思われること。漢の古楽府「馬(うま)を長城(ちょうじょう)の窟(いわや)に飲(みずか)う行(うた)」(『玉台新詠』巻一)に「上(かみ)には餐(さん)食(しょく)を加(くわ)えよと有(あ)り、下(しも)には長(なが)く相(あい)憶(おも)うと有(あ)り」(上有加餐食、下有長相憶)とある。ウィキソース「飲馬長城窟行 (蔡邕)」参照。『四部叢刊本』では「億」に作る。
桐柏山頭去不歸
桐柏(とうはく)山頭(さんとう) 去(さ)って帰(かえ)らず
  • 桐柏山 … 天台山の西にある山。司馬道士はここに桐柏宮を建てて住んだという。
  • 去不帰 … 去ったまま、再び都へは帰ってこないだろう。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻七(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻五十三(排印本、中華書局、1960年)
  • 『宋之問集』巻下(『四部叢刊 続編集部』所収)
  • 『宋之問集』巻下([明]許自昌編、『前唐十二家詩』所収、万暦三十一年刊、内閣文庫蔵)
  • 『文苑英華』巻二百二十七(影印本、中華書局、1966年)
  • 『唐詩品彙』巻四十六([明]高棅編、[明]汪宗尼校訂、上海古籍出版社、1982年)
  • 趙宦光校訂/黄習遠補訂『万首唐人絶句』巻十一(万暦三十五年刊、内閣文庫蔵)
  • 『古今詩刪』巻二十一(寛保三年刊、『和刻本漢詩集成 総集篇9』所収、汲古書院)
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