至端州駅見杜五審言沈三佺期閻五朝隠王二無競題壁慨然成詠(宋之問)
至端州驛見杜五審言沈三佺期閻五朝隱王二無競題壁慨然成詠
端州駅に至り、杜五審言・沈三佺期・閻五朝隠・王二無競の壁に題するを見、慨然として詠を成す
端州駅に至り、杜五審言・沈三佺期・閻五朝隠・王二無競の壁に題するを見、慨然として詠を成す
- 七言古詩。譴・見・縣(去声霰韻)、飛・稀・歸(平声微韻)。
- 端州駅 … 端州は今の広東省高要。駅は宿場。作者(宋之問)は滝州(今の広東省羅定)に流された。端州駅は配所へ向かう岐路にあたっていた。宿場の壁には作者の友人で詩人の4人が先に詩を書きつけていた。
- 杜五審言 … 杜審言。五は排行(従兄弟を含めた兄弟の年齢順による序列)。峯州(ベトナム・ハノイ付近)に流された。
- 沈三佺期 … 沈佺期。三は排行。驩州(ベトナム)に流された。
- 閻五朝隠 … 閻朝隠。五は排行。崖州(今の海南島瓊山)に流された。
- 王二無競 … 王無競。二は排行。広東省広州に流された。
- 慨然 … 悲しんで、心が乱れる様子。
- 宋之問 … 656?~712。初唐の詩人。字は延清。汾州(山西省汾陽市)の人。一説に虢州弘農県(河南省霊宝市)の人。上元二年(675)、進士に及第。則天武后に召されて楊炯とともに習芸館の学士となる。尚方監丞、左奉宸内供奉などを歴任した。玄宗の先天元年(712)、自殺を命じられて死んだ。沈佺期とともに七言律詩の定型を作り出し、「沈宋」と呼ばれた。『宋之問集』二巻がある。ウィキペディア【宋之問】参照。
逐臣北地承巖譴
逐臣 北地に巌譴を承け
- 逐臣 … 追放された臣下。
- 北地 … ここでは都の長安を指す。
- 巌譴 … 厳しい咎め。
謂到南中每相見
謂えらく南中に到らば毎に相見んと
- 謂 … ~と思った。底本では「調」に作るが『全唐詩』に従い改めた。
- 南中 … 南方の地方。嶺南地方(今の広東省)を指す。
豈意南中岐路多
豈に意わんや 南中には岐路多く
- 岐路 … 分かれ道。
千山萬水分郷縣
千山万水 郷県を分たんとは
- 千山万水 … 多くの山や川。『全唐詩』には「一作千里萬里」とある。
- 郷県 … 村や町。郷は村落。
雲搖雨散各翻飛
雲揺ぎ雨散じて各おの翻飛し
- 雲揺雨散 … 放逐された5人が散り散りになることのたとえ。
- 翻飛 … 分かれ分かれに飛び散ること。
海闊天長音信稀
海闊く天長くして音信稀なり
- 音信 … たより。
處處山川同瘴癘
処処の山川 同じく瘴癘
- 瘴癘 … 南方の湿地に多い毒気。
自憐能得幾人歸
自ら憐れむ 能く幾人か帰るを得ん
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