思君恩(令狐楚)
思君恩
思君恩
思君恩
- 五言絶句。多・過(下平声歌韻)。
- ウィキソース「思君恩 (令狐楚)」「唐詩紀事 (四部叢刊本)/卷第四十二」参照。
- 詩題 … 唐の新しい楽府題の一つ。君恩を思う。天子の寵愛を失った宮女の怨情を主題とする。『唐詩品彙』では「思君恩二首其一」に作る。『万首唐人絶句』『楽府詩集』では「思君恩三首其一」に作る。
- この詩は、漢の武帝の寵愛を失い、長門宮に退居させられた陳皇后の怨情を想像しながら作ったもので、宮女の閨怨詩である。なお、同じく陳皇后を詠じた詩に段成式の「折楊柳」がある。ウィキペディア【陳皇后 (漢武帝)】参照。
- 令狐楚 … 766~837。中唐の詩人、政治家。令狐は姓。字は愨士。宜州華原(陝西省耀州区)の人。原籍は敦煌(甘粛省)。貞元七年(791)、進士に及第。徳宗に文才を認められ、憲宗の時、同中書門下平章事に任ぜられて宰相の地位に就いた。白居易、元稹、劉禹錫らと詩の唱和をした。ウィキペディア【令狐楚】参照。
小苑鶯歌歇
小苑 鶯歌歇み
長門蝶舞多
長門 蝶舞多し
- 長門 … 漢の離宮の名。長門宮。武帝の寵愛が衛子夫に移り、その嫉妬から陳皇后は呪詛事件を起こしたため、武帝の怒りを買い、元光五年(前130)、長門宮に退居させられた。『漢書』陳皇后伝に「罷退して長門宮に居る」(罷退居長門宮)とある。ウィキソース「漢書/卷097上」参照。
- 蝶舞多 … 蝶がたくさん舞っている。
眼看春又去
眼のあたり看る 春又去るを
- 眼看 … 見ているうちに。見る見るうちに。眼前に見ること。
- 春又去 … 今年もまた春が過ぎて行く。
翠輦不曾過
翠輦 曽て過らず
- 翠輦 … 翡翠(かわせみの羽)で飾った天子の乗物。輦は、天子の乗る手引きぐるま。隋の煬帝「雲中にて突厥の主の朝するを受け、宴席に詩を賦す」詩に「鹿塞に鴻旗駐り、竜庭に翠輦回る」(鹿塞鴻旗駐、龍庭翠輦回)とある。竜庭は、匈奴の王の庭。ウィキソース「全隋詩/卷三」参照。
- 不曽過 … 一度もお立ち寄りになったことがない。
- 曾 … 『全唐詩』では「經」に作り、「一作曾」と注する。『楽府詩集』『唐詩紀事』では「經」に作る。
テキスト
- 『箋註唐詩選』巻六(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
- 『全唐詩』巻三百三十四(排印本、中華書局、1960年)
- 『唐詩品彙』巻四十二([明]高棅編、[明]汪宗尼校訂、上海古籍出版社、1982年)
- 趙宦光校訂/黄習遠補訂『万首唐人絶句』巻七(万暦三十五年刊、内閣文庫蔵)
- 『楽府詩集』巻九十五・新楽府辞(北京図書館蔵宋刊本影印、中津濱渉『樂府詩集の研究』所収)
- 『唐詩紀事』巻四十二([宋]計有功輯撰、上海古籍出版社、1987年)
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