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折楊柳(段成式)

折楊柳
せつようりゅう
だん成式せいしき
  • 七言絶句。門・恩・昏(上平声元韻)。
  • ウィキソース「折楊柳七首(段成式)」「折楊柳三首(王貞白)」参照。
  • 詩題 … 『全唐詩』巻五百八十四(段成式)では「折楊柳七首其一」に作り、「此篇一作王貞白詩」と注する。『全唐詩』巻七百一(王貞白)では「折楊柳三首其一」に作り、題下に「一作段成式詩」と注する。『万首唐人絶句』では「折楊柳七首其一」に作る。『唐詩品彙』では「折楊柳枝詞」に作る。
  • 折楊柳 … 楽府題の一つ。元は別離の曲。しかし、ここでは天子の寵愛を失った宮女の怨情を詠じる。
  • この詩は、漢の武帝の寵愛を失い、長門宮に退居させられた陳皇后の嘆きを想像しながら作ったもので、宮女の閨怨けいえん詩である。なお、同じく陳皇后を詠じた詩に令狐楚の「思君恩」がある。ウィキペディア【陳皇后 (漢武帝)】参照。
  • 段成式 … ?~863?。晩唐の文人。あざな柯古かこりん(山東省)の人。宰相段文昌の子。蔭補(父の功績によって官職を得ること)をもって校書郎に任命され、吉州(今の江西省吉安市)刺史・太常少卿などを歴任した。随筆集『酉陽ゆうようざっ』二十巻、続集十巻がある。ウィキペディア【段成式】参照。
枝枝交影鎖長門
枝枝ししかげまじえてちょうもんとざ
  • 枝枝 … 柳の枝々。
  • 交影 … 影を交錯させて。
  • 長門 … 漢の離宮の名。長門宮。武帝の寵愛がえい子夫しふに移り、その嫉妬から陳皇后は呪詛事件を起こしたため、武帝の怒りを買い、元光五年(前130)、長門宮に退居させられた。『漢書』外戚伝に「孝武陳皇后は、長公主ひょうむすめなり。……帝、即位するに及び、立ちて皇后と為り、寵をほしいままにし貴におごるも、十余年にして子無し。えい子夫しふの幸を得ることを聞き、ほとんど死せんとすること数〻しばしばなり。しょう愈〻いよいよ怒る。后又た婦人のどうさしはさみ、すこぶおぼゆ。元光五年、しょう遂に之をきゅうし、女子ふく等、皇后の巫蠱ふこに祠祭祝詛を為し、大逆無道に坐し、相れんきゅうして誅せらるる者三百余人なり。楚服は市にきょうしゅせらる。有司をして皇后に策を賜わしめて曰く、皇后序を失い、巫祝に惑う。以て天命をく可からず。其れじゅたてまつり、罷退はいたいして長門宮に居れ、と」(孝武陳皇后、長公主嫖女也。……及帝即位、立爲皇后、擅寵驕貴、十餘年而無子。聞衞子夫得幸、幾死者數焉。上愈怒。后又挾婦人媚道、頗覺。元光五年、上遂窮治之、女子楚服等坐爲皇后巫蠱祠祭祝詛、大逆無道、相連及誅者三百餘人。楚服梟首於市。使有司賜皇后策曰、皇后失序、惑於巫祝。不可以承天命。其上璽綬、罷退居長門宮)とある。窮治は、罪状を徹底的に調べること。連及は、関連すること。梟首は、さらし首。たてまつるとは、返上すること。罷退は、めて退くこと。ウィキソース「漢書/卷097上」参照。また『三輔黄図』巻三、甘泉宮の条に「長門宮は、離宮にして、長安城に在り。孝武の陳皇后、幸を得るも、すこぶねたみ、長門宮にきょせらる」(長門宮、離宮、在長安城。孝武陳皇后得幸、頗妬、居長門宮)とある。ウィキソース「三輔黃圖/卷之三」参照。
  • 鎖 … (長門宮の入口を)閉ざしている。
嫩色曾霑雨露恩
どんしょくかつうるおう 雨露うろおん
  • 嫩色 … 草木の若々しい色。宮女の若かった頃の色香に喩える。
  • 霑 … うるおう。恩恵や厚いもてなしを受ける。
  • 雨露恩 … 雨や露の恵み。天子の寵愛に喩える。
鳳輦不來春欲盡
鳳輦ほうれんきたらず はるきんとほっ
  • 鳳輦 … 屋根に鳳凰の飾りがついた天子の乗物。輦は、天子の乗る手引きぐるま。鳳車ほうしゃほうほう輿とも。
  • 春欲尽 … 春がもう過ぎ去ろうとしている。ここでは、宮女の容色が衰えていくことをかけている。
空留鶯語到黄昏
むなしくおうとどめて黄昏こうこんいた
  • 鶯語 … 鶯の鳴く声。鶯のさえずり。おう鶯声おうせい鶯吟おうぎんも同じ。
  • 到黄昏 … 黄昏たそがれになっていく。夕暮れになっていく。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻七(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻五百八十四(段成式)・巻七百一(王貞白)(排印本、中華書局、1960年)
  • 趙宦光校訂/黄習遠補訂『万首唐人絶句』巻二十九(万暦三十五年刊、内閣文庫蔵)
  • 『唐詩品彙』巻五十四([明]高棅編、[明]汪宗尼校訂、上海古籍出版社、1982年)
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