酌酒与裴迪(王維)
酌酒與裴迪
酒を酌んで裴迪に与う
酒を酌んで裴迪に与う
- 七言律詩。瀾・冠・寒・餐(平声寒韻)。
- 裴迪 … 王維の詩友。この詩は役人として不遇だった裴迪を慰めるため、王維が即興で作ったものである。
- 王維 … 699?~761。盛唐の詩人、画家。太原(山西省)の人。字は摩詰。開元七年(719)、進士に及第。安禄山の乱で捕らえられたが事なきを得、乱後は粛宗に用いられて尚書右丞(書記官長)まで進んだので、王右丞とも呼ばれる。また、仏教に帰依したため、詩仏と称される。『王右丞集』十巻(または六巻)がある。ウィキペディア【王維】参照。
酌酒與君君自寬
酒を酌んで君に与う 君自ら寬うせよ
- 寬 … 気分をゆったりとさせる。
人情翻覆似波瀾
人情の翻覆 波瀾に似たり
- 翻覆 … 変わりやすいこと。
- 波瀾 … 波。
白首相知猶按劍
白首の相知も猶お剣を按じ
- 白首 … しらがあたま。
- 相知 … 友人。
- 按剣 … 刀の柄に手をかけてかまえる。
朱門先達笑彈冠
朱門の先達は弾冠を笑う
- 朱門 … 朱塗りの門。
- 先達 … 先に栄達した人。
- 弾冠 … 冠のほこりをはらって仕官の準備をすること。
草色全經細雨濕
草色は全く細雨を経て湿い
- 草色 … 若草の色。つまらぬ人間・小人にたとえる。
- 經 … 『全唐詩』には「一作輕」とある。
- 細雨 … きりさめ。春雨。
花枝欲動春風寒
花枝動かんと欲して春風寒し
- 花枝 … 花の枝。君子にたとえる。ここではとくに不遇な裴迪を指す。
- 欲動 … 花のつぼみが開こうとする。
世事浮雲何足問
世事浮雲 何ぞ問うに足らん
- 世事 … 世の中のこと。
- 浮雲 … はかないことのたとえ。
- 何足問 … とやかく問題にするほどのこともない。
不如高臥且加餐
如かず 高臥して且つ餐を加えんには
- 不如 … 「~にしかず」と読み、「~には及ばない」「~の方がよい」と訳す。
- 高臥 … 世を避けて悠々と暮らす。
- 且 … ひとまず。
- 加餐 … 食事をたくさん食べる。「健康に気をつけなさい」というような意味に使用される言葉。
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