酬郭給事(王維)
酬郭給事
郭給事に酬ゆ
郭給事に酬ゆ
- 七言律詩。暉・飛・稀・闈・衣(平声微韻)。
- 郭 … 郭某。人物については不明。
- 給事 … 官名。給事中。門下省に属し、詔勅を検討する役。
- 酬 … お返しをする。ここでは郭某が詩を作って作者に贈ったのに対し、作者が答えたもの。
- 王維 … 699?~761。盛唐の詩人、画家。太原(山西省)の人。字は摩詰。開元七年(719)、進士に及第。安禄山の乱で捕らえられたが事なきを得、乱後は粛宗に用いられて尚書右丞(書記官長)まで進んだので、王右丞とも呼ばれる。また、仏教に帰依したため、詩仏と称される。『王右丞集』十巻(または六巻)がある。ウィキペディア【王維】参照。
洞門高閣靄餘暉
洞門高閣 余暉靄たり
- 洞門 … ここでは「ほら穴の入り口」という意味ではなく、「幾重にも重なって奥深く見える門」という意。
- 高閣 … たかどの。
- 余暉 … 落日の残照。余輝。
- 靄 … もやにかすんで見えること。
桃李陰陰柳絮飛
桃李陰陰として柳絮飛ぶ
- 桃李 … 桃と、すもも。
- 陰陰 … 葉が生い茂って光を通さないさま。
- 柳絮 … 柳の白い綿毛のついた種子。晩春から初夏の頃、綿のように乱れ飛ぶ。
禁裏疏鐘官舍晩
禁裏の疏鐘 官舎晩れ
- 禁裏 … 内裏。
- 疏鐘 … 間遠に聞こえてくる鐘の音。
省中啼鳥吏人稀
省中の啼鳥 吏人稀なり
- 省中 … 宮中のこと。もとは「禁中」といったが、漢の孝元皇后の父の名が「禁」だったため、その字を避けて「省中」というようになったといわれている。
- 啼鳥 … 鳥の鳴く声。
- 吏人 … 下っぱの役人。
晨搖玉佩趨金殿
晨に玉佩を揺がして金殿に趨き
- 晨 … 早朝。
- 玉佩 … 役人が礼服に用いた、腰に下げる玉。
- 金殿 … 天子の宮殿。
夕奉天書拜瑣闈
夕べに天書を奉じて瑣闈を拝す
- 天書 … 天子の詔書。
- 瑣闈 … 青鎖で飾った宮中の小門。
強欲從君無那老
強いて君に従わんと欲するも老いを那んともする無し
- 無那 … どうしようもない。
將因臥病解朝衣
将に臥病に因って朝衣を解かんとす
- 臥病 … 病気になって寝床につく。
- 解朝衣 … 「朝衣」は朝廷に出仕するときに着る官服。それを解くとは、辞職を意味する。
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