>   漢詩   >   唐詩選   >   巻五 七律   >   過乗如禅師蕭居士嵩丘蘭若(王維)

過乗如禅師蕭居士嵩丘蘭若(王維)

過乘如禪師蕭居士嵩丘蘭若
乗如じょうにょぜんしょう居士こじ嵩丘すうきゅう蘭若らんにゃよぎ
おう
  • 七言律詩。晴・聲・平・生(平声庚韻)。
  • 乗如禅師・蕭居士 … 人物については不明。「居士」は出家せずに仏道を修行する人。
  • 嵩丘 … 嵩山すうざん。ウィキペディア【嵩山】参照。
  • 蘭若 … 寺院のこと。梵語アーラニャの音訳、「阿蘭若」の略。
  • 過 … 「よぎる」と読む。立ち寄る。『史記』でんしゅく伝に「会〻たまたまけんたいしょうちょうきたりてえいしょうぐんよぎる」(會賢大夫少府趙禹來過衛將軍)とある。ウィキソース「史記/卷104」参照。
  • 王維 … 699?~761。盛唐の詩人、画家。太原(山西省)の人。あざなきつ。開元七年(719)、進士に及第。安禄山の乱で捕らえられたが事なきを得、乱後は粛宗に用いられてしょうじょゆうじょう(書記官長)まで進んだので、王右丞とも呼ばれる。また、仏教に帰依したため、詩仏と称される。『王右丞集』十巻(または六巻)がある。ウィキペディア【王維】参照。
無著天親弟與兄
無著むじゃく 天親てんじん ていけい
  • 無著 … インドの僧。法相宗の祖。ウィキペディア【無著】参照。
  • 天親 … インドの僧。世親。無著の弟。ウィキペディア【世親】参照。
嵩丘蘭若一峰晴
嵩丘すうきゅう蘭若らんにゃ 一峰いっぽう
  • 一峰 … 一つの峰。
食隨鳴磬巢烏下
しょく鳴磬めいけいしたがいて巣烏そううくだ
  • 食 … 食事時。
  • 鳴磬 … 石の板。食事などの合図に打ち鳴らす。
  • 巣烏下 … 巣にいる烏が下りて来る。食事の一部を餓鬼に施すため、おこぼれに与れる。
行踏空林落葉聲
こう空林くうりんみて落葉らくようこえあり
  • 空林 … 人気ひとけのない林。
迸水定侵香案濕
迸水ほうすいさだめて香案こうあんおかして湿うるお
  • 迸水 … ほとばしり出る水。東晋の名僧慧遠えおんが廬山に寺を建てようとし、弟子たちと山中の谷間に休んで、「ここに寺を建てたら、地中から泉が湧くであろう」と言い、杖で地中を掘ると、清らかな泉が湧き出たという故事を踏まえる。
  • 香案 … 香炉をのせておく机。
雨花應共石牀平
雨花うかまさ石牀せきしょうともたいらかなるべし
  • 雨花 … 雨のように降る花。
  • 石牀 … 石でつくった寝台。
深洞長松何所有
深洞しんどう 長松ちょうしょう なんところ
  • 深洞 … 深い洞穴。
  • 長松 … 高い松。
  • 何所有 … その下に何があるか。
儼然天竺古先生
儼然げんぜんたる天竺てんじく先生せんせい
  • 儼然 … ここでは「さながら、そっくり」の意。「おごそかな」「いかめしい」の意ではない。
  • 天竺古先生 … 釈迦如来のこと。『老子化胡かこ経』によれば、老子がインドに渡って釈迦となり、古先生といわれたという。
歴代詩選
古代 前漢
後漢
南北朝
初唐 盛唐
中唐 晩唐
北宋 南宋
唐詩選
巻一 五言古詩 巻二 七言古詩
巻三 五言律詩 巻四 五言排律
巻五 七言律詩 巻六 五言絶句
巻七 七言絶句
詩人別
あ行 か行 さ行
た行 は行 ま行
や行 ら行