和賈至舎人早朝大明宮之作(王維)
和賈至舍人早朝大明宮之作
賈至舎人の「早に大明宮に朝す」の作に和す
賈至舎人の「早に大明宮に朝す」の作に和す
- 七言律詩。籌・裘・旒・浮・頭(平声尤韻)。
- 『全唐詩』巻128所収。ウィキソース【和賈舍人早朝大明宮之作】参照。
- この詩は岑参の「和賈至舎人早朝大明宮之作」同様、賈至の「早朝大明宮呈両省僚友」の詩に唱和して作ったもの。
- 賈至舎人 … 盛唐の詩人。718~772年。洛陽の人。ウィキペディア【賈至】参照。「舎人」は中書舎人。詔勅の作成などをつかさどる。『全唐詩』では「賈舎人」に作る。
- 早 … 早朝。
- 朝 … 参内すること。
- 大明宮 … 長安の都の東の内裏。
- 王維 … 699?~761。盛唐の詩人、画家。太原(山西省)の人。字は摩詰。開元七年(719)、進士に及第。安禄山の乱で捕らえられたが事なきを得、乱後は粛宗に用いられて尚書右丞(書記官長)まで進んだので、王右丞とも呼ばれる。また、仏教に帰依したため、詩仏と称される。『王右丞集』十巻(または六巻)がある。ウィキペディア【王維】参照。
絳幘雞人報曉籌
絳幘の雞人 暁籌を報じ
- 絳幘 … 赤い帽子。
- 雞人 … 官名。夜明けを知らせて宮殿内の百官を起こす役。
- 報 … 『全唐詩』では「送」に作り、「一作報」とある。
- 暁籌 … 夜明けの時刻。
尚衣方進翠雲裘
尚衣方に進む 翠雲の裘
- 尚衣 … 天子の衣冠を管理する職。
- 翠雲裘 … みどりの糸で雲の模様を縫い取りした衣服。「裘」は皮ごろも。
九天閶闔開宮殿
九天の閶闔 宮殿を開き
- 九天 … 九重の天。宮殿。ここでは大明宮を指す。
- 天 … 『全唐詩』には「一作重」とある。
- 閶闔 … 天門。ここでは大明宮の宮殿の門を指す。
萬國衣冠拜冕旒
万国の衣冠 冕旒を拝す
- 冕旒 … かんむりの前後にたれ下げる飾りの玉。
日色纔臨仙掌動
日色纔かに仙掌に臨んで動き
- 日色 … 太陽の光。
- 纔 … やっとのことで。はじめて。
- 仙掌 … 漢の武帝が宮殿の庭に立てた承露盤。
香煙欲傍袞龍浮
香煙袞竜に傍いて浮ばんと欲す
- 袞龍 … 体をうねらせた竜を刺繍した天子の礼服。
朝罷須裁五色詔
朝罷んで須らく裁すべし 五色の詔
- 朝罷 … 天子の前での朝礼の儀が終了すること。
- 須 … 「すべからく~べし」と読み、「ぜひ~する必要がある」「~するべきだ」と訳す。再読文字。
- 裁 … 詔書を起草する。
- 五色詔 … 詔勅。五色の模様のある紙にかかれるため。
珮聲歸到鳳池頭
珮声帰り到る 鳳池の頭
- 珮声 … 腰におびた佩玉の音。『全唐詩』では「佩聲」に作る。「佩」と「珮」とは同義。
- 到 … 『全唐詩』では「向」に作り、「一作到」とある。
- 鳳池 … 鳳凰池の略称。鳳池のそばに中書省があったことから、中書省を指す。
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