己達せんと欲して人を達す


己達せんと欲して人を達す
- 出典:『論語』雍也第六28(ウィキソース「論語/雍也第六」参照)
- 解釈:自分が何かを達成したいと思ったら、まず他人を達成させてやる。いつも自分を他人の立場に置いて考えてやるということが、仁者の態度である。
- 論語 … 孔子(前552~前479)とその門弟たちの言行録。四書の一つ。十三経の一つ。二十編。儒家の中心的経典。我が国へは応神天皇の代に伝来したといわれている。ウィキペディア【論語】参照。
子貢曰、如有博施於民、而能濟衆、何如。可謂仁乎。子曰、何事於仁。必也聖乎。堯舜其猶病諸。夫仁者、己欲立而立人、己欲達而達人。能近取譬。可謂仁之方也已。
子貢曰く、如し博く民に施して、能く衆を済うもの有らば、何如。仁と謂う可きか。子曰く、何ぞ仁を事とせん。必ずや聖か。堯舜も其れ猶お諸を病めり。夫れ仁者は、己立たんと欲して人を立て、己達せんと欲して人を達す。能く近く譬えを取る。仁の方と謂う可きのみ。
- 子貢 … 前520~前446。姓は端木、名は賜。子貢は字。衛の人。孔子より三十一歳年少の門人。孔門十哲のひとり。弁舌・外交に優れていた。また、商才もあり、莫大な財産を残した。ウィキペディア【子貢】参照。
- 如 … 「もし~ば」と読み、「もし~ならば」と訳す。仮定条件の意を示す。
- 博施 … 広く善意を施す。君主が広く恩恵を施すこと。
- 衆 … 民衆。上の「民」に同じ。
- 済 … 「すくう」と読む。救済すること。
- 何如 … どうであるか。事実や状態を問う場合に用いる。「何奈」「何若」も同じ。ちなみに「如何」は「どうしたらよいか」と訳し、方法や処置・動作を問う場合に用いる。
- 何事於仁 … 仁どころではない。
- 必也聖乎 … きっと聖人であろうよ。聖人というほかない。「必也~乎」は「きっと~であろうよ」と訳す。
- 堯・舜 … 古代の伝説上の聖天子。ウィキペディア【堯】【舜】参照。
- 其猶病諸 … 容易にできないといって悩まれたものだ。病は、心を悩ますこと。
- 諸 … 本来は「之於」が「諸」に訛ったもの。ここでは単に「これ」と読む。
- 立 … 身を立てること。
- 達 … 目的に到達する。
- 取譬 … 身近なところで自分自身を振り返り、自分の身の上に譬え、引き比べる。
- 方 … 方法。
- 詳しい注釈と現代語訳については「雍也第六28」参照。
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