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慮りて以て人に下る

おもんぱかりてもっひとくだ
  • 出典:『論語』顔淵第十二20(ウィキソース「論語/顏淵第十二」参照)
  • 解釈:そもそも達人とは、深く考えて人にへりくだる者である。ちょうが達人について聞いたとき、孔子が答えた言葉。
  • 論語 … 孔子(前552~前479)とその門弟たちの言行録。四書の一つ。十三経の一つ。二十編。儒家の中心的経典。我が国へは応神天皇の代に伝来したといわれている。ウィキペディア【論語】参照。
子張問、士何如斯可謂之達矣。子曰、何哉、爾所謂達者。子張對曰、在邦必聞、在家必聞。子曰、是聞也。非達也。夫達也者、質直而好義、察言而觀色、慮以下人。在邦必達、在家必達。夫聞也者、色取仁而行違、居之不疑。在邦必聞、在家必聞。
ちょうう、何如いかなるをこここれたつきか。いわく、なんぞや、なんじ所謂いわゆるたつとは。ちょうこたえていわく、くにりてもかならこえ、いえりてもかならこゆ。いわく、ぶんなり。たつあらざるなり。たつなるものは、しっちょくにしてこのみ、げんさっしていろおもんぱかりてもっひとくだる。くにりてもかならたっし、いえりてもかならたっす。ぶんなるものは、いろじんりておこないはたがい、これりてうたがわず。くにりてもかならこえ、いえりてもかならこゆ。
  • 子張 … 前503~?。孔子の弟子。姓は顓孫せんそん、名は師、あざなは子張。陳の人。孔子より四十八歳年少。ウィキペディア【子張】参照。
  • 士 … 本来は卿・大夫・士の士で、中堅の役人層を指すが、ここでは、道を志し、学問修養をしている者くらいの意。
  • 達 … 人格者で見識があり、人に信頼されて自然に世間の評判が高くなること。達人。
  • 聞 … 内面が空虚なのに、外見を飾って世間の評判になること。
  • 質直 … 飾りけがなく真面目、正直である。質朴。
  • 観色 … 人の顔色を見て、心中を読み取る。
  • 慮 … 思慮深い態度をとること。深く考えること。
  • 下人 … 人にへりくだる。人に謙遜する。人に譲歩する。
  • 色取仁 … 外見は人格者を装う。
  • 行違 … 実際の行為が、人格者の行為と食い違っている。
  • 居之不疑 … そういうやり方に平気でいて、疑問を感じない。
  • 詳しい注釈と現代語訳については「顔淵第十二20」参照。
あ行 か行 さ行
た行 な行 は行
ま行 や行 ら行・わ
論語の名言名句