仁者は之に告げて井に仁有りと曰うと雖も、其れ之に従わんや
仁者は之に告げて井に仁有りと曰うと雖も、其れ之に従わんや
- 出典:『論語』雍也第六24(ウィキソース「論語/雍也第六」参照)
- 解釈:仁徳のある人は、井戸に人が落ちていると言われたら、すぐその井戸に飛び込むでしょうか。弟子の宰我が孔子に質問したときの言葉。
- 論語 … 孔子(前552~前479)とその門弟たちの言行録。四書の一つ。十三経の一つ。二十編。儒家の中心的経典。我が国へは応神天皇の代に伝来したといわれている。ウィキペディア【論語】参照。
宰我問曰、仁者雖告之曰井有仁焉、其從之也。子曰、何爲其然也。君子可逝也、不可陷也。可欺也、不可罔也。
宰我、問いて曰く、仁者は之に告げて井に仁有りと曰うと雖も、其れ之に従わんや。子曰く、何為れぞ其れ然らんや。君子は逝かしむ可きも、陥る可からざるなり。欺く可きも、罔う可らざるなり。
- 宰我 … 前522~前458(一説に前489)。姓は宰、名は予、字は子我。孔門十哲のひとり。魯の人。「言語には宰我・子貢」と評され、弁舌にすぐれていた。後に斉の臨淄の大夫となった。ウィキペディア【宰我】参照。
- 仁者 … 仁の道をきわめた人。仁徳をそなえた人。
- 井有仁焉 … 井戸に人が落ちている。ここでの「仁」は、人の意。古注では「仁徳ある人」(仁人)と解釈している。新注では「人」の字に改めるべきだと言っている。
- 雖 … 仮に~しても。仮定形。
- 従 … 落ちた人を井戸に飛び込んで救う。
- 何為其然也 … どうしてそのようなことができようや。「何為」は「なんすれぞ」と読み、「どうして」「なぜ」「何のために」と訳す。「其」は、語調を整える助字。意味はない。
- 逝 … 行く。使役動詞。ここでは「行かせる」と読む。
- 陥 … 井戸の中へ入らせる。
- 欺 … 道理のあることを言って相手を騙すこと。
- 罔 … 道理のないことで相手の目をくらませ、騙すこと。
- 詳しい注釈と現代語訳については「雍也第六24」参照。
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