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一字千金

一(いち)字(じ)千金(せんきん)
  • 出典:『史記』呂不韋列伝(ウィキソース「史記/卷085」参照)
  • 解釈:一字で千金の値うちがあるほど、すぐれた文章または文字であること。
     秦の呂不韋がその著『呂氏春秋』の文章に対し、一字でも添削できた者には千金を与えようと言ったという故事に基づく。
  • 史記 … 前漢の司馬遷がまとめた歴史書。二十四史の一つ。事実を年代順に書き並べる編年体と違い、人物の伝記を中心とする紀伝体で編纂されている。本紀十二巻、表十巻、書八巻、世家三十巻、列伝七十巻の全百三十巻。ウィキペディア【史記】参照。
當是時、魏有信陵君、楚有春申君、趙有平原君、齊有孟嘗君。皆下士、喜賓客、以相傾。
是(こ)の時(とき)に当(あ)たり、魏(ぎ)に信(しん)陵(りょう)君(くん)有(あ)り、楚(そ)に春(しゅん)申君(しんくん)有(あ)り、趙(ちょう)に平原君(へいげんくん)有(あ)り、斉(せい)に孟(もう)嘗(しょう)君(くん)有(あ)り。皆(みな)士(し)に下(くだ)り、賓客(ひんかく)を喜(よろこ)び以(もっ)て相(あい)傾(かたむ)く。
  • 信陵君 … 戦国四君のひとり。魏の昭王の子。名は無忌。三千人の食客を養ったと伝えられる。
  • 春申君 … 戦国四君のひとり。楚の大臣黄歇(こうあつ)の封号。三千人の食客を養ったと伝えられる。
  • 平原君 … 戦国四君のひとり。趙の武霊王の子。名は勝。平原は号。食客は常に数千人に達したと伝えられる。
  • 孟嘗君 … 戦国四君のひとり。姓名は田文。数千人の食客を養っていたと伝えられる。
  • 下 … へりくだる。
呂不韋以秦之彊、羞不如、亦招致士、厚遇之。至食客三千人。
呂(りょ)不韋(ふい)、秦(しん)の彊(つよ)きを以(もっ)てして、如(し)かざるを羞(は)じ、亦(ま)た士(し)を招(しょう)致(ち)し、厚(あつ)く之(これ)を遇(ぐう)す。食(しょっ)客(かく)三千人(さんぜんにん)に至(いた)る。
  • 呂不韋 … 戦国時代の商人・政治家。『呂氏春秋』をつくった。
  • 食客 … 特別な技術・才能があるので、客分としてかかえられている人。
是時諸侯多辯士。如荀卿之徒、著書布天下。呂不韋乃使其客人人著所聞、集論以爲八覽、六論、十二紀、二十餘萬言。
是(こ)の時(とき)、諸侯(しょこう)に弁(べん)士(し)多(おお)し。荀(じゅん)卿(けい)の徒(と)の如(ごと)き、書(しょ)を著(あらわ)して天(てん)下(か)に布(し)く。呂(りょ)不韋(ふい)乃(すなわ)ち其(そ)の客(かく)をして人人(ひとびと)聞(き)く所(ところ)を著(あらわ)さしめ、集(しゅう)論(ろん)して以(もっ)て八覧(はちらん)・六論(りくろん)・十(じゅう)二紀(にき)、二(に)十(じゅう)余(よ)万言(まんげん)を為(つく)る。
  • 荀卿 … 荀子の尊称。名は況。性悪説をとなえた。
以爲備天地萬物古今之事。號曰呂氏春秋。布咸陽市門、懸千金其上、延諸侯游士賓客、有能增損一字者予千金。
以為(おも)えらく、天(てん)地(ち)万物(ばんぶつ)古(こ)今(こん)の事(こと)を備(そな)うと。号(ごう)して呂(りょ)氏(し)春秋(しゅんじゅう)と曰(い)う。咸陽(かんよう)の市(し)門(もん)に布(し)き、千金(せんきん)を其(そ)の上(うえ)に懸(か)け、諸侯(しょこう)の游(ゆう)士(し)賓客(ひんかく)を延(ひ)く、能(よ)く一(いち)字(じ)を増損(ぞうそん)する者(もの)有(あ)らば、千金(せんきん)を予(あた)えん、と。
  • 咸陽 … 陝西省中部、渭水の北岸にある市。ウィキペディア【咸陽市】参照。
  • 延 … 案内してひき入れる。
  • 増損 … 増やすことと減らすこと。
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