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春行寄興(李華)

春行寄興
春(しゅん)行(こう) 興(きょう)を寄(よ)す
李華(りか)
  • 七言絶句。萋・西・啼(平声齊韻)。
  • ウィキソース「春行寄興」参照。
  • 春行 … 春の行楽。
  • 寄興 … 感興を詩に託して述べる。興は、感興。寄は、『説文解字』巻七下、宀部に「託するなり」(託也)とある。ウィキソース「說文解字/07」参照。
  • この詩は、春の日に行楽して、心に沸き起こったその感興を詩に託して述べたもの。
  • 李華 … 715?~766。盛唐の詩人。趙州賛皇(さんこう)県(河北省)の人。字(あざな)は遐(か)叔(しゅく)。開元二十三年(735)、進士に及第。天宝十一載(752)、監察御史となったが、権臣楊国忠に逆らい、右補闕に左遷された。安禄山の乱の後は杭州司戸参軍に左遷されたが、辞職して江南に隠退した。肅宗の上元年間(760~761)、左補闕・司封員外郎に召されたが辞退した。晩年は山陽(江蘇省淮安市)に隠棲し、子弟を育成しながら農耕に従事した。蕭穎士の友人。散文の名手で「古戦場を弔う文」は名文として有名。ウィキペディア【李華】参照。
宜陽城下草萋萋
宜(ぎ)陽(よう)城(じょう)下(か) 草(くさ)萋萋(せいせい)たり
  • 宜陽 … 河南省宜陽県。洛陽の西南に当たる。ウィキペディア【宜陽県】参照。
  • 城下 … 城壁の外。町の郊外。
  • 草 … 若草。
  • 萋萋 … 草が盛んに茂っているさま。『詩経』周南・葛覃(かつたん)に「葛(くず)の覃(の)びて、中(ちゅう)谷(こく)に施(うつ)る、維(こ)れ葉(は)萋萋(せいせい)たり」(葛之覃兮、施于中谷、維葉萋萋)とある。ウィキソース「詩經/葛覃」参照。また『楚辞』招隠士にも「王孫(おうそん)遊(あそ)んで帰(かえ)らず、春(しゅん)草(そう)生(しょう)じて萋萋(せいせい)たり」(王孫遊兮不歸、春草生兮萋萋)とある。ウィキソース「楚辭/招隱士」参照。
澗水東流復向西
澗水(かんすい)東(ひがし)に流(なが)れて復(ま)た西(にし)に向(むか)う
  • 澗水 … 谷川の水。『詩経』召南・采蘩(さいはん)に「于(ここ)に以(もっ)て蘩(はん)を采(と)る、澗(かん)の中(うち)に」(于以采蘩、于澗之中)とあり、その毛伝に「山(やま)が水(みず)を夾(はさ)むを澗(かん)と曰(い)う」(山夾水曰澗)とある。『毛詩』巻一(国立国会図書館デジタルコレクション)参照。また、西晋の劉琨「扶(ふ)風(ふう)歌(か)」(『文選』巻二十八)に「烈烈(れつれつ)として悲(ひ)風(ふう)起(おこ)り、泠泠(れいれい)として澗水(かんすい)流(なが)る」(烈烈悲風起、泠泠澗水流)とある。ウィキソース「扶風歌」参照。
  • 復向西 … 途中で折れ曲がり、また西へ流れていく。
芳樹無人花自落
芳樹(ほうじゅ)人(ひと)無(な)く 花(はな)自(おの)ずから落(お)ち
  • 芳樹 … 芳しい花の咲いている春の木。三国魏の阮籍「詠懐詩八十二首」の第七首(『文選』巻二十三では十七首中第十三首)に「芳樹は緑(りょく)葉(よう)を垂れ、清雲は自ずから逶迤(いい)たり」(芳樹垂綠葉、清雲自逶迤)とある。ウィキソース「詠懷詩五言八十二首」「詠懷詩十七首」参照。
  • 無人 … 見る人もなく。
  • 花自落 … 花は独りでにはらはらと散っている。
春山一路鳥空啼
春(しゅん)山(ざん)一(いち)路(ろ) 鳥(とり)空(むな)しく啼(な)く
  • 春山 … 春の山道。
  • 一路 … 一すじに。
  • 鳥空啼 … 聞く人もないのに鳥が空しく鳴いている。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻七(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻一百五十三(排印本、中華書局、1960年)
  • 趙宦光校訂/黄習遠補訂『万首唐人絶句』巻十二(万暦三十五年刊、内閣文庫蔵)
  • 『唐詩品彙』巻四十八([明]高棅編、[明]汪宗尼校訂、上海古籍出版社、1982年)
  • 『古今詩刪』巻二十二(寛保三年刊、『和刻本漢詩集成 総集篇9』所収、汲古書院)
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