春行寄興(李華)
春行寄興
春行 興を寄す
春行 興を寄す
- 〔テキスト〕 『唐詩選』巻七、『全唐詩』巻一百五十三、『唐詩品彙』巻四十八、趙宦光校訂/黄習遠補訂『万首唐人絶句』巻十二(万暦三十五年刊、内閣文庫蔵)、『古今詩刪』巻二十二(寛保三年刊、『和刻本漢詩集成 総集篇9』所収、60頁)、他
- 七言絶句。萋・西・啼(平声齊韻)。
- ウィキソース「春行寄興」参照。
- 春行 … 春の行楽。
- 寄興 … 感興を詩に託して述べる。興は、感興。寄は、『説文解字』巻七下、宀部に「託するなり」(託也)とある。ウィキソース「說文解字/07」参照。
- この詩は、春の日に行楽して、心に沸き起こったその感興を詩に託して述べたもの。
- 李華 … 715?~766。盛唐の詩人。趙州賛皇県(河北省)の人。字は遐叔。開元二十三年(735)、進士に及第。天宝十一載(752)、監察御史となったが、権臣楊国忠に逆らい、右補闕に左遷された。安禄山の乱の後は杭州司戸参軍に左遷されたが、辞職して江南に隠退した。肅宗の上元年間(760~761)、左補闕・司封員外郎に召されたが辞退した。晩年は山陽(江蘇省淮安市)に隠棲し、子弟を育成しながら農耕に従事した。蕭穎士の友人。散文の名手で「古戦場を弔う文」は名文として有名。ウィキペディア【李華】参照。
宜陽城下草萋萋
宜陽城下 草萋萋たり
澗水東流復向西
澗水東に流れて復た西に向う
芳樹無人花自落
芳樹人無く 花自ずから落ち
- 芳樹 … 芳しい花の咲いている春の木。阮籍「詠懐詩十七首 其の十三」(『文選』巻二十三)に「芳樹は緑葉を垂れ、清雲は自ずから逶迤たり」(芳樹垂綠葉、清雲自逶迤)とある。ウィキソース「詠懷詩十七首」参照。
- 無人 … 見る人もなく。
- 花自落 … 花は独りでにはらはらと散っている。
春山一路鳥空啼
春山一路 鳥空しく啼く
- 春山 … 春の山道。
- 一路 … 一すじに。
- 鳥空啼 … 聞く人もないのに鳥が空しく鳴いている。
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