早朝大明宮呈両省僚友(賈至)
早朝大明宮呈両省僚友
早に大明宮に朝し、両省の僚友に呈す
早に大明宮に朝し、両省の僚友に呈す
- 〔テキスト〕 『唐詩選』巻五、『全唐詩』巻二百三十五、『唐詩品彙』巻八十三、他
- 七言律詩。長・蒼・章・香・王(平声陽韻)。
- ウィキソース【早朝大明宮呈兩省僚友】参照。
- 早 … 早朝。
- 朝 … 参内すること。
- 大明宮 … 長安の都の東の内裏。
- この詩に唱和して作ったものに、王維の「和賈至舎人早朝大明宮之作」と岑参の「和賈至舎人早朝大明宮之作」とがある。
- 賈至 … 718~772。盛唐の詩人。洛陽(河南省)の人。字は幼幾、一説には幼隣ともいう。賈曾の子。開元二十三年(735)、李頎・李華・蕭穎士らとともに進士に及第し、さらに天宝十載(751)、明経の科に及第した。単父(山東省)の尉をはじめ、起居舎人・知制誥などを歴任。至徳二載(757)、長安に帰って中書舎人となった。のちに岳州(湖南省岳陽市)に流されたが、宝応元年(762)、召還されて中書舎人に復帰した。大暦五年(770)、京兆尹兼御史大夫に進み、右散騎常侍に至って卒した。ウィキペディア【賈至】参照。
銀燭朝天紫陌長
銀燭天に朝して紫陌長く
- 銀燭 … 明るく輝くともしび。
- 朝 … 『全唐詩』では「熏」に作り、「一作朝」とある。
- 朝天 … 参内すること。
- 紫陌 … 都大路。「陌」は道。
禁城春色曉蒼蒼
禁城の春色 暁に蒼蒼たり
- 禁城 … 宮中。
- 春色 … 春の景色。春の趣き。謝朓の「徐都曹に和す」(『文選』巻三十)に「宛洛は遨游に佳く、春色は皇州に満つ」(宛洛佳遨游、春色滿皇州)とある。宛洛は、宛邑(南陽)と洛陽との二都。遨游は、気ままに遊び楽しむこと。皇州は、帝都の地。ウィキソース「昭明文選/卷30」参照。
- 蒼蒼 … 明け方の薄暗い様子。
千條弱柳垂靑瑣
千条の弱柳 青瑣に垂れ
- 千条 … 何千もの筋。
- 弱柳 … 細い柳の枝。
- 青瑣 … 王宮の門。
百囀流鶯繞建章
百囀の流鶯 建章を繞る
- 百囀 … 多くの鳥がしきりにさえずること。
- 流鶯 … 枝から枝へと飛び移って鳴くうぐいす。
- 繞 … 『全唐詩』には「一作滿」とある。
- 建章 … 漢の武帝が建てた宮殿の名。
劒佩聲隨玉墀歩
剣佩 声は玉墀の歩に随い
- 剣佩 … 腰にさげた剣と佩玉。『全唐詩』では「劍珮」に作る。「佩」と「珮」とは同義。
- 玉墀 … 玉石を敷き詰めた階段上の土間。
衣冠身惹御爐香
衣冠 身は御炉の香を惹く
- 御炉 … 天子の香炉。
- 惹 … 『全唐詩』には「一作染」とある。
共沐恩波鳳池上
共に恩波に沐す 鳳池の上
- 恩波 … 天子の恩恵。
- 鳳池 … 鳳凰池の略称。鳳池のそばに中書省があったことから、中書省を指す。
- 上 … 『全唐詩』には「一作裏」とある。
朝朝染翰侍君王
朝朝 翰を染めて君王に侍せん
- 朝朝 … 朝ごとに。
- 染翰 … 筆で字を書く。詔勅の文章を起草すること。
こちらもオススメ!
歴代詩選 | |
古代 | 前漢 |
後漢 | 魏 |
晋 | 南北朝 |
初唐 | 盛唐 |
中唐 | 晩唐 |
北宋 | 南宋 |
金 | 元 |
明 | 清 |
唐詩選 | |
巻一 五言古詩 | 巻二 七言古詩 |
巻三 五言律詩 | 巻四 五言排律 |
巻五 七言律詩 | 巻六 五言絶句 |
巻七 七言絶句 |
詩人別 | ||
あ行 | か行 | さ行 |
た行 | は行 | ま行 |
や行 | ら行 |