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遙同杜員外審言過嶺(沈佺期)

遙同杜員外審言過嶺
遙(はる)かに杜(と)員外(いんがい)審言(しんげん)の嶺(れい)を過(よぎ)るに同(どう)ず
沈(しん)佺(せん)期(き)
  • 七言律詩。分・雲・聞・群・君(上平声文韻)。
  • ウィキソース「遙同杜員外審言過嶺」参照。
  • 杜員外審言 … 杜審言。ウィキペディア【杜審言】参照。員外は、杜審言の官職名、膳部員外郎。
  • 嶺 … 華南と華中との境界をなす五嶺(南嶺)山脈のこと。大庾嶺・始安嶺・臨賀嶺・桂陽嶺・掲陽嶺の五嶺を総称していう。ウィキペディア【南嶺山脈】参照。
  • この詩は、杜審言が配所への旅の途中に作った「嶺(れい)を過(よぎ)る」を作者が見て、唱和したもの。遙かにとは、互いに配所の地が隔たっていたため。
  • 沈佺期 … 656~714。初唐の詩人。字(あざな)は雲卿。相州内黄(河南省)の人。上元二年(675)、進士に及第。考功郎中となったが収賄罪で驩(かん)州(しゅう)(ベトナム)に流された。のち呼び戻されて中書舎人、太子少詹(せん)事(じ)に至った。宋之問とともに七言律詩の定型を作り出し、「沈宋」と呼ばれた。ウィキペディア【沈セン期】参照。
天長地闊嶺頭分
天(てん)は長(なが)く地(ち)は闊(ひろ)くして嶺頭(れいとう)に分(わか)る
  • 闊 … 遠くまで広々と広がっている様子。
  • 嶺頭 … ここでは、大(だい)庾(ゆ)嶺(れい)の峠の上。
去國離家見白雲
国(くに)を去(さ)り家(いえ)を離(はな)れて白雲(はくうん)を見(み)る
  • 国 … 都。
洛浦風光何所似
洛(らく)浦(ほ)の風光(ふうこう) 何(なん)の似(に)る所(ところ)ぞ
  • 洛浦 … 洛陽の南を流れる洛水の岸辺。
  • 風光何所似 … 『全唐詩』には「一作肝腸無用説」と注する。『文苑英華』では「肝腸無用説」に作る。
崇山瘴癘不堪聞
崇山(すうざん)の瘴(しょう)癘(れい) 聞(き)くに堪(た)えず
  • 崇山 … 驩(かん)州(ベトナム北部)の方にあった山らしいが、位置はよくわからない。
  • 瘴癘 … 感染性の熱病。マラリアなど。南方の湿地に多い。
南浮漲海人何處
南(みなみ)のかた漲(ちょう)海(かい)に浮(うか)んで人(ひと)何(いず)れの処(ところ)ぞ
  • 漲海 … 今の南海。
  • 人 … 『全唐詩』には「一作鳶」と注する。『文苑英華』では「鳶」に作り、「集作人」と注する。
北望衡陽鴈幾羣
北(きた)のかた衡陽(こうよう)を望(のぞ)めば雁(かり)幾群(いくぐん)
  • 衡陽 … 今の湖南省衡陽市のあたり。
兩地江山萬餘里
両(りょう)地(ち)の江山(こうざん) 万(ばん)余里(より)
  • 両地 … 作者の配所は驩(かん)州、杜審言の配所は峯州(ハノイの近く)。
  • 江山 … 『全唐詩』には「一作春光」と注する。『文苑英華』では「春光」に作り、「春」に対し「集作風」と注する。
  • 万余里 … 一万余里。
何時重謁聖明君
何(いず)れの時(とき)か重(かさ)ねて聖明(せいめい)の君(きみ)に謁(えつ)せん
  • 聖明君 … 明徳をそなえた天子。
  • 謁 … 拝謁する。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻五(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻九十六(排印本、中華書局、1960年)
  • 『沈佺期集』巻下([明]許自昌編、『前唐十二家詩』所収、万暦三十一年刊、内閣文庫蔵)
  • 『沈佺期集』巻四(明銅活字本、『唐五十家詩集』所収、上海古籍出版社、1989年)
  • 『文苑英華』巻二百八十九(影印本、中華書局、1966年)
  • 『唐詩品彙』巻八十二([明]高棅編、[明]汪宗尼校訂、上海古籍出版社、1982年)
  • 『唐詩別裁集』巻十三([清]沈徳潜編、乾隆二十八年教忠堂重訂本縮印、中華書局、1975年)
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