古意(沈佺期)
古意
古意
古意
- 〔テキスト〕 『唐詩選』巻五、『全唐詩』巻二十六・巻九十六、『楽府詩集』巻七十五、『沈佺期集』巻下(『前唐十二家詩』所収)、『沈佺期集』巻四(『唐五十家詩集』所収)、『文苑英華』巻二百五、『唐詩品彙』巻八十二、『唐詩別裁集』巻十三、『才調集』巻三、『搜玉小集』、他
- 七言律詩。堂・梁・陽・長・黄(平声陽韻)。
- ウィキソース「古意呈補闕喬知之」参照。
- 詩題 … 『全唐詩』巻九十六では「古意、補闕の喬知之に呈す」(古意呈補闕喬知之)に作り、「一に古意に作り、又独不見に作る」(一作古意。又作獨不見)とある。『前唐十二家詩本』『唐五十家詩集本』『才調集』では「古意呈補闕喬知之」に作る。『文苑英華』では「古意二首 其一」に作る。『全唐詩』巻二十六『楽府詩集』では「独不見」に作る。
- 古意 … 古い詩の趣を学んで作った詩。
- 沈佺期 … 656~714。初唐の詩人。字は雲卿。相州内黄(河南省)の人。上元二年(675)、進士に及第。考功郎中となったが収賄罪で驩州(ベトナム)に流された。のち呼び戻されて中書舎人、太子少詹事に至った。宋之問とともに七言律詩の定型を作り出し、「沈宋」と呼ばれた。ウィキペディア【沈セン期】参照。
盧家少婦鬱金堂
盧家の少婦 鬱金堂
- 盧家 … 豪族の姓。『才調集』では「織錦」に作り、「一作盧家」とある。
- 少婦 … 若い嫁。
- 少 … 『楽府詩集』では「小」に作る。『全唐詩』巻二十六では「小」に作り、「集作少」とある。『文苑英華』には「一作小」とある。
- 鬱金堂 … 鬱金香とよばれる名香をたきこめた部屋。鬱金は、西域産の香草の名。『唐会要』雑録の条に「(貞観)二十一年、……伽毘国、鬱金香を献ず。葉は麦門冬に似て、九月に花開き、状は芙蓉の如し。其の色、紫碧。香り数十歩聞こゆ。華ひらきて実ならず。種えんと欲すれば其の根を取る」(二十一年、……伽毘國獻鬱金香。葉似麥門冬、九月花開、狀如芙蓉。其色紫碧。香聞數十步。華而不實。欲種取其根)とある。ウィキソース「唐會要/卷100」参照。また『本草綱目』草部、芳草類、鬱金の項に「鬱金は蜀地及び西戎に生じ、苗は薑に似て黄、花は白く質は紅く、末秋に茎心を出だすも実無し」(鬱金生蜀地及西戎、苗似薑黃、花白質紅、末秋出莖心而無實)とある。ウィキソース「本草綱目/草之三」参照。なお、「鬱金」を「郁金」に作るのは、「郁」が「鬱」の簡体字のため。
- 堂 … 『全唐詩』巻九十六には「一作香」とある。『前唐十二家詩本』『唐五十家詩集本』では「香」に作る。
海燕雙棲玳瑁梁
海燕双棲す 玳瑁の梁
- 海燕 … 燕。
- 双棲 … (つがいの燕が)ならびすむ。双栖。
- 玳瑁梁 … 「玳瑁」は熱帯地方に産するウミガメの一種。べっこうがめ。したがって「玳瑁梁」はべっ甲で飾ったうつばり。
- 玳 … 底本及び『文苑英華』では「瑇」に作る。同義。
九月寒砧催木葉
九月 寒砧 木葉を催し
- 寒砧 … 冬着支度のために布を打つ砧の音。
- 催木葉 … 木々の葉が早く散るように促しているようだ。
- 木 … 『全唐詩』巻二十六『楽府詩集』『文苑英華』では「下」に作る。
十年征戍憶遼陽
十年 征戍 遼陽を憶う
- 年 … 底本では「月」に作る。
- 征戍 … 辺境を守備すること。
- 遼陽 … 地名。ウィキペディア【遼陽市】参照。
白狼河北音書斷
白狼河北 音書断え
- 白狼河北 … 白狼河の北。白狼河は川の名。今の大凌河のこと。ウィキペディア【大凌河】参照。
- 狼 … 『才調集』では「駒」に作る。
- 音書 … 音信。たより。手紙。
- 音 … 『全唐詩』巻九十六には「一作軍」とある。『文苑英華』では「軍」に作り、「一作音」とある。『才調集』では「軍」に作る。
丹鳳城南秋夜長
丹鳳城南 秋夜長し
- 丹鳳城南 … 丹鳳城の南。丹鳳城は長安城。少婦の住む所。
誰爲含愁獨不見
誰が為にか愁いを含む 独不見
- 誰為 … 『全唐詩』巻九十六では「誰謂」に作る。『文苑英華』では「誰知」に作る。
- 愁 … 『文苑英華』では「情」に作り、「一作愁」とある。
- 独不見 … 楽府の題名。
- 見 … 『文苑英華』では「語」に作り、「一作見」とある。
更教明月照流黄
更に明月をして流黄を照らさしむ
- 更教 … 『全唐詩』巻二十六では「使妾」に作り、「集作更教」とある。『文苑英華』『楽府詩集』『才調集』では「使妾」に作る。
- 流黄 … 少婦の織るもえぎ色の絹布。
- 照 … 『文苑英華』では「對」に作り、「一作照」とある。『才調集』では「對」に作る。
- 更教明月照流黄 … 『全唐詩』巻九十六には「一作使妾明月對流黄」とある。
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