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古意(沈佺期)

古意
古意(こい)
沈(しん)佺(せん)期(き)
  • 七言律詩。堂・梁・陽・長・黄(下平声陽韻)。
  • ウィキソース「古意呈補闕喬知之」「全唐詩/卷026」参照。
  • 詩題 … 『全唐詩(巻九十六)』では「古意、補(ほ)闕(けつ)の喬(きょう)知之(ちし)に呈す」(古意呈補闕喬知之)に作り、「一に古意に作り、又た独不見に作る」(一作古意。又作獨不見)とある。『前唐十二家詩本』『唐五十家詩集本』『才調集』では「古意呈補闕喬知之」に作る。『文苑英華』では「古意二首其一」に作る。『全唐詩(巻二十六)』『楽府詩集』では「独不見」に作る。
  • 古意 … 古い詩の趣(おもむき)を学んで作った詩。
  • 沈佺期 … 656~714。初唐の詩人。字(あざな)は雲卿。相州内黄(河南省)の人。上元二年(675)、進士に及第。考功郎中となったが収賄罪で驩(かん)州(しゅう)(ベトナム)に流された。のち呼び戻されて中書舎人、太子少詹(せん)事(じ)に至った。宋之問とともに七言律詩の定型を作り出し、「沈宋」と呼ばれた。ウィキペディア【沈セン期】参照。
盧家少婦鬱金堂
盧家(ろか)の少(しょう)婦(ふ) 鬱金堂(うっこんどう)
  • 盧家 … 豪族の姓。『才調集』では「織錦」に作り、「一作盧家」と注する。
  • 少婦 … 若い嫁。
  • 少 … 『楽府詩集』では「小」に作る。『全唐詩(巻二十六)』では「小」に作り、「集作少」と注する。『文苑英華』には「一作小」と注する。
  • 鬱金堂 … 鬱金香(うっこんこう)とよばれる名香をたきこめた部屋。鬱金は、西域産の香草の名。『唐会要』雑録の条に「(貞観)二十一年、……伽毘国、鬱金香を献ず。葉は麦門冬(ばくもんとう)に似て、九月に花開き、状(かたち)は芙蓉の如し。其の色、紫碧。香り数十歩聞こゆ。華ひらきて実ならず。種(う)えんと欲すれば其の根を取る」(二十一年、……伽毘國獻鬱金香。葉似麥門冬、九月花開、狀如芙蓉。其色紫碧。香聞數十步。華而不實。欲種取其根)とある。ウィキソース「唐會要/卷100」参照。また『本草綱目』草部、芳草類、鬱金の項に「鬱金は蜀地及び西戎に生じ、苗は薑(きょう)に似て黄、花は白く質は紅く、末秋に茎心を出だすも実無し」(鬱金生蜀地及西戎、苗似薑黃、花白質紅、末秋出莖心而無實)とある。ウィキソース「本草綱目/草之三」参照。なお、「鬱金」を「郁金」に作るのは、「郁」が「鬱」の簡体字のため。
  • 堂 … 『全唐詩(巻九十六)』には「一作香」と注する。『前唐十二家詩本』『唐五十家詩集本』では「香」に作る。
海燕雙棲玳瑁梁
海燕(かいえん)双棲(そうせい)す 玳瑁(たいまい)の梁(りょう)
  • 海燕 … 燕(つばめ)。
  • 双棲 … (つがいの燕が)ならびすむ。双栖。
  • 玳瑁梁 … 玳瑁は、熱帯地方に産するウミガメの一種。べっこうがめ。したがって玳瑁梁は、べっ甲で飾ったうつばり。
  • 玳 … 底本及び『文苑英華』では「瑇」に作る。こちらも「瑇瑁(たいまい)」。
九月寒砧催木葉
九(く)月(がつ) 寒砧(かんちん) 木葉(もくよう)を催(もよお)し
  • 寒砧 … 冬着支度のために布を打つ砧(きぬた)の音。
  • 催木葉 … 木々の葉が早く散るように促しているようだ。
  • 木 … 『全唐詩(巻二十六)』『楽府詩集』『文苑英華』では「下」に作る。
十年征戍憶遼陽
十(じゅう)年(ねん) 征戍(せいじゅ) 遼(りょう)陽(よう)を憶(おも)う
  • 年 … 底本では「月」に作る。
  • 征戍 … 辺境を守備すること。戍は、守る。劉宋の顔延之の詩「還りて梁城に至る作」(『文選』巻二十七)に「眇(びょう)黙(もく)として軌路(きろ)は長く、憔悴して征戍に勤(つと)む」(眇默軌路長、憔悴征戍勤)とある。眇黙は、遠くかすかで、ひっそりとしたさま。軌路は、車で帰る帰り道。ウィキソース「昭明文選/卷27」参照。
  • 遼陽 … 地名。ウィキペディア【遼陽市】参照。
白狼河北音書斷
白狼(はくろう)河(か)北(ほく) 音書(いんしょ)断(た)え
  • 白狼河北 … 白狼河の北。白狼河は川の名。今の大凌河のこと。ウィキペディア【大凌河】参照。
  • 狼 … 『才調集』では「駒」に作る。
  • 音書 … 音信。たより。手紙。
  • 音 … 『全唐詩(巻九十六)』には「一作軍」と注する。『文苑英華』では「軍」に作り、「一作音」と注する。『才調集』では「軍」に作る。
丹鳳城南秋夜長
丹鳳(たんぽう)城(じょう)南(なん) 秋(しゅう)夜(や)長(なが)し
  • 丹鳳城南 … 丹鳳城の南。丹鳳城は長安城。少婦の住む所。
誰爲含愁獨不見
誰(た)が為(ため)にか愁(うれ)いを含(ふく)む 独(どく)不(ふ)見(けん)
  • 誰為 … 『全唐詩(巻九十六)』では「誰謂」に作る。『文苑英華』では「誰知」に作る。
  • 愁 … 『文苑英華』では「情」に作り、「一作愁」と注する。
  • 独不見 … 楽府の題名。
  • 見 … 『文苑英華』では「語」に作り、「一作見」と注する。
更教明月照流黄
更(さら)に明月(めいげつ)をして流(りゅう)黄(こう)を照(て)らさしむ
  • 更教 … 『全唐詩(巻二十六)』では「使妾」に作り、「集作更教」と注する。『文苑英華』『楽府詩集』『才調集』では「使妾」に作る。
  • 流黄 … 少婦の織るもえぎ色の絹布。
  • 照 … 『文苑英華』では「對」に作り、「一作照」と注する。『才調集』では「對」に作る。
  • 更教明月照流黄 … 『全唐詩(巻九十六)』には「一作使妾明月對流黄」と注する。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻五(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻二十六・巻九十六(排印本、中華書局、1960年)
  • 『沈佺期集』巻下([明]許自昌編、『前唐十二家詩』所収、万暦三十一年刊、内閣文庫蔵)
  • 『沈佺期集』巻四(明銅活字本、『唐五十家詩集』所収、上海古籍出版社、1989年)
  • 『文苑英華』巻二百五(影印本、中華書局、1966年)
  • 『唐詩品彙』巻八十二([明]高棅編、[明]汪宗尼校訂、上海古籍出版社、1982年)
  • 『唐詩別裁集』巻十三([清]沈徳潜編、乾隆二十八年教忠堂重訂本縮印、中華書局、1975年)
  • 『楽府詩集』巻七十五・雑曲歌辞(北京図書館蔵宋刊本影印、中津濱渉『樂府詩集の研究』所収)
  • 『才調集』巻三(傅璇琮編撰『唐人選唐詩新編』、陝西人民教育出版社、1996年)
  • 『搜玉小集』(傅璇琮編撰『唐人選唐詩新編』、陝西人民教育出版社、1996年)
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