紅楼院応制(沈佺期)
紅樓院應制
紅楼院 応制
紅楼院 応制
- 〔テキスト〕 『唐詩選』巻五、『全唐詩』巻九十六、『沈佺期集』巻下(『前唐十二家詩』所収)、『沈佺期集』巻四(『唐五十家詩集』所収)、『文苑英華』巻一百七十八、『唐詩品彙』巻八十二、他
- 七言律詩。光・唐・長・香・翔(平声陽韻)。
- ウィキソース「紅樓院應制」参照。
- 紅楼院 … 長安の皇城内にあった仏教寺院。天子の祈禱所。
- 応制 … 天子の命令によって作った詩文。
- 『全唐詩』には題下に「一作僧廣宣詩」とある。『文苑英華』巻一百七十八には釈広宣の作として収録されている。
- 沈佺期 … 656~714。初唐の詩人。字は雲卿。相州内黄(河南省)の人。上元二年(675)、進士に及第。考功郎中となったが収賄罪で驩州(ベトナム)に流された。のち呼び戻されて中書舎人、太子少詹事に至った。宋之問とともに七言律詩の定型を作り出し、「沈宋」と呼ばれた。ウィキペディア【沈セン期】参照。
紅樓疑見白毫光
紅楼 白毫の光を見るかと疑う
- 紅楼 … 紅楼院。
- 白毫光 … 仏の眉間にあって、白い毛から発する光。
寺逼宸居福盛唐
寺は宸居に逼りて盛唐に福す
- 宸居 … 御所。天子の住居。
- 盛唐 … 盛大なる唐の御世。
支遁愛山情漫切
支遁は山を愛するも情漫りに切なり
- 支遁 … 東晋の高僧。314~366。字は道林。ウィキペディア【支遁】参照。「支遁山を愛す」とは、支遁が山を買い取りたいと希望したという『世説新語』に見える故事を踏まえる。
- 漫 … むなしく。いたずらに。『唐詩選』『全唐詩』『前唐十二家詩本』『唐五十家詩集本』では「謾」に作る。『文苑英華』では「慢」に作る。
曇摩泛海路空長
曇摩は海に泛ぶも路空しく長し
- 曇摩 … 達摩大師のこと。ウィキペディア【達磨】参照。
經聲夜息聞天語
経声夜に息んで天語を聞き
- 経声 … 読経の声。
- 声 … 『文苑英華』では「身」に作る。
- 天語 … 天子の宮殿の中から聞こえてくる話し声。
爐氣晨飄接御香
炉気晨に飄って御香に接す
- 炉気 … 香炉の煙。
- 爐 … 『文苑英華』では「鑪」に作る。同義。
- 晨 … あさ。
- 御香 … 宮中でたかれる香。
誰謂此中難可到
誰か謂う 此の中到る可きこと難しと
- 謂 … 『文苑英華』では「道」に作る。
- 此中 … 紅楼院の中。
自憐深院得徊翔
自ら憐れむ 深院 徊翔するを得しを
- 憐 … 感動する。
- 深院 … 奥深い寺院。
- 徊翔 … 鳥が飛び舞うように、自由に歩き回ること。
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