竜池篇(沈佺期)
龍池篇
竜池篇
竜池篇
- 〔テキスト〕 『唐詩選』巻五、『全唐詩』巻九十六、『沈佺期集』巻下(『前唐十二家詩』所収)、『沈佺期集』巻四(『唐五十家詩集』所収)、『文苑英華』巻一百六十七、『唐詩品彙』巻八十二、『唐詩別裁集』巻十三、他
- 七言律詩。飛・違・微・輝・帰(平声微韻)。
- ウィキソース「龍池篇 (沈佺期)」参照。
- 詩題 … 『全唐詩』には題下に「唐享龍池樂章第三章」とある。
- 竜池 … 興慶宮内にあった池の名。
- 沈佺期 … 656~714。初唐の詩人。字は雲卿。相州内黄(河南省)の人。上元二年(675)、進士に及第。考功郎中となったが収賄罪で驩州(ベトナム)に流された。のち呼び戻されて中書舎人、太子少詹事に至った。宋之問とともに七言律詩の定型を作り出し、「沈宋」と呼ばれた。ウィキペディア【沈セン期】参照。
龍池躍龍龍已飛
竜池竜を躍らせて竜已に飛べり
- 躍竜 … 竜池から竜が躍り出たこと。
- 躍 … 『文苑英華』では「濯」に作る。
- 已 … 『前唐十二家詩本』『唐五十家詩集本』『文苑英華』『唐詩品彙』では「巳」に作る。
龍德先天天不違
竜徳天に先だちて天違わず
- 竜徳 … 竜の徳。天子の徳をたとえていう。
- 徳 … 『文苑英華』では「得」に作る。
- 先 … 『全唐詩』には「一作光」とある。
池開天漢分黃道
池は天漢を開いて黄道を分ち
- 天漢 … 天の川。
- 黄 … 『全唐詩』には「一作皇」とある。
- 黄道 … 太陽の軌道。天子の通る道にたとえている。
龍向天門入紫微
竜は天門に向って紫微に入る
- 天門 … 天に登る門。
- 紫微 … もとは北斗星の北東にある十五の星の名。伝説では、その一つが天の軸にあたり、天帝の住む宮殿とされる。転じて、王宮のこと。ここでは天子の住む宮殿を指し、玄宗が皇帝の座についたことに喩える。紫微宮・紫微星・紫垣・紫宮とも。『晋書』天文志に「紫宮垣の十五星、其の西番七つ、東番八つ、北斗の北に在り。一に紫微と曰う。大帝の坐なり。天子の常居なり。命を主り度を主るなり」(紫宮垣十五星、其西番七、東番八、在北斗北。一曰紫微。大帝之坐也。天子之常居也。主命主度也)とある。ウィキソース「晉書/卷011」参照。
邸第樓臺多氣色
邸第楼台 気色多し
- 邸第 … 邸宅。
- 多気色 … 豊かな趣がある。
君王鳧雁有光輝
君王の鳧雁 光輝有り
- 鳧雁 … 鴨や雁。
- 雁 … 『前唐十二家詩本』『唐五十家詩集本』『文苑英華』『唐詩品彙』『唐詩別裁集』では「鴈」に作る。同義。
爲報寰中百川水
為に報ぜん 寰中百川の水
- 為報 … 知らせてあげる。言ってやるぞ。
- 寰中 … 世界中。
- 百川 … 多くの川。
來朝此地莫東歸
此の地に来り朝して東帰する莫かれ
- 来朝 … 天子のもとへ挨拶にやって来る。
- 此 … 『全唐詩』には「一作北、又一作上」とある。『文苑英華』では「北」に作る。
- 東帰 … 中国の川はすべて東へ流れて海に入るといわれていた。
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