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竜池篇(沈佺期)

龍池篇
竜(りょう)池(ち)篇(へん)
沈(しん)佺(せん)期(き)
  • 七言律詩。飛・違・微・輝・帰(上平声微韻)。
  • ウィキソース「龍池篇 (沈佺期)」参照。
  • 詩題 … 『全唐詩』には、題下に「唐享龍池樂章第三章」と注する。
  • 竜池 … 長安興慶宮内にあった池の名。『唐両京城坊考』西京、興慶宮の条に「宮の正門は西向し、興慶門と曰う。其の内に興慶殿あり、殿の後ろを竜池と為す」(宮之正門西向、曰興慶門。其內興慶殿、殿後爲龍池)とある。ウィキソース「唐兩京城坊考/01」参照。また『長安志』に「常に雲気有り。或いは黄竜の其の中より出ずるを見る。……之を竜池と謂う」(常有雲氣。或見黄龍出其中。……謂之龍池)とある。ウィキソース「長安志 (四庫全書本)/卷09」参照。また『唐会要』興慶宮の条に「宅内に竜池の湧出する有り」(宅內有龍池湧出)とある。ウィキソース「唐會要/卷030」参照。
  • 沈佺期 … 656~714。初唐の詩人。字(あざな)は雲卿。相州内黄(河南省)の人。上元二年(675)、進士に及第。考功郎中となったが収賄罪で驩(かん)州(しゅう)(ベトナム)に流された。のち呼び戻されて中書舎人、太子少詹(せん)事(じ)に至った。宋之問とともに七言律詩の定型を作り出し、「沈宋」と呼ばれた。ウィキペディア【沈セン期】参照。
龍池躍龍龍已飛
竜(りょう)池(ち)竜(りょう)を躍(おど)らせて竜(りゅう)已(すで)に飛(と)べり
  • 躍竜 … 竜池から竜が躍り出たこと。
  • 躍 … 『文苑英華』では「濯」に作る。
龍德先天天不違
竜(りょう)徳(とく)天(てん)に先(さき)だちて天(てん)違(たが)わず
  • 竜徳 … 竜の徳。天子の徳をたとえていう。
  • 徳 … 『文苑英華』では「得」に作る。
  • 先 … 『全唐詩』には「一作光」と注する。
池開天漢分黃道
池(いけ)は天漢(てんかん)を開(ひら)いて黄道(こうどう)を分(わか)ち
  • 天漢 … 天の川。
  • 黄 … 『全唐詩』には「一作皇」と注する。
  • 黄道 … 太陽の軌道。天子の通る道にたとえている。
龍向天門入紫微
竜(りょう)は天門(てんもん)に向(む)かって紫微(しび)に入(い)る
  • 天門 … 天に登る門。
  • 紫微 … もとは北斗星の北東にある十五の星の名。伝説では、その一つが天の軸にあたり、天帝の住む宮殿とされる。転じて、王宮のこと。ここでは天子の住む宮殿を指し、玄宗が皇帝の座についたことに喩える。紫微宮・紫微星・紫(し)垣(えん)・紫宮とも。『晋書』天文志に「紫(し)宮(きゅう)垣(えん)の十(じゅう)五(ご)星(せい)、其(そ)の西番(せいばん)七(なな)つ、東番(とうばん)八(や)つ、北(ほく)斗(と)の北(きた)に在(あ)り。一(いつ)に紫微(しび)と曰(い)う。大帝(たいてい)の坐(ざ)なり。天(てん)子(し)の常(じょう)居(きょ)なり。命(めい)を主(つかさど)り度(ど)を主(つかさど)るなり」(紫宮垣十五星、其西番七、東番八、在北斗北。一曰紫微。大帝之坐也。天子之常居也。主命主度也)とある。ウィキソース「晉書/卷011」参照。
邸第樓臺多氣色
邸第(ていだい)楼台(ろうだい) 気(き)色(しょく)多(おお)し
  • 邸第 … 邸宅。
  • 多気色 … 豊かな趣がある。
君王鳧雁有光輝
君王(くんのう)の鳧(ふ)雁(がん) 光(こう)輝(き)有(あ)り
  • 鳧雁 … 鴨や雁。
爲報寰中百川水
為(ため)に報(ほう)ぜん 寰(かん)中(ちゅう)百(ひゃく)川(せん)の水(みず)
  • 為報 … 知らせてあげる。言ってやるぞ。
  • 寰中 … 世界中。
  • 百川 … 多くの川。
來朝此地莫東歸
此(こ)の地(ち)に来(きた)り朝(ちょう)して東(とう)帰(き)する莫(な)かれ
  • 来朝 … 天子のもとへ挨拶にやって来る。
  • 此 … 『全唐詩』には「一作北、又一作上」と注する。『文苑英華』では「北」に作る。
  • 東帰 … 中国の川はすべて東へ流れて海に入るといわれていた。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻五(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻九十六(排印本、中華書局、1960年)
  • 『沈佺期集』巻下([明]許自昌編、『前唐十二家詩』所収、万暦三十一年刊、内閣文庫蔵)
  • 『沈佺期集』巻四(明銅活字本、『唐五十家詩集』所収、上海古籍出版社、1989年)
  • 『文苑英華』巻一百六十七(影印本、中華書局、1966年)
  • 『唐詩品彙』巻八十二([明]高棅編、[明]汪宗尼校訂、上海古籍出版社、1982年)
  • 『唐詩別裁集』巻十三([清]沈徳潜編、乾隆二十八年教忠堂重訂本縮印、中華書局、1975年)
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