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舟中読元九詩(白居易)

舟中讀元九詩
舟中しゅうちゅうにてげんきゅう
はくきょ
  • 〔テキスト〕 『白氏文集』巻十五(『四部叢刊 初編集部』所収、通称:四部叢刊本・那波本)、『白氏文集』巻十五(南宋紹興刊本、通称:紹興本)、『白氏文集』巻十五(明馬元調校刊本、通称:馬本)、『白香山詩集』巻十五(清汪立名編訂本、通称:汪本)、『全唐詩』巻四百三十八、他
  • 七言絶句。明・聲(平声庚韻)。
  • ウィキソース「舟中讀元九詩」参照。
  • 舟中 … 長安から左遷先の江州へと下っていく舟を指す。
  • 元九 … 中唐の詩人、元稹(779~831)を指す。あざな微之びし。九は排行。このとき、通州(四川省達県)の司馬に左遷されていた。ウィキペディア【元シン】参照。
  • この詩は、元和十年(815)、江州(今の江西省九江市)の司馬(州の属官)に左遷されていく途中、親友の元稹から「白楽天が江州司馬に左降せられしを聞く」(聞白楽天左降江州司馬)という詩が届き、それに返したもの。作者四十四歳の作。
  • 白居易 … 772~846。中唐の詩人。あざなは楽天、号は香山居士。貞元十六年(800)、進士に及第。翰林学士、左拾遺などを歴任後、江州(江西省九江)司馬に左遷された。のち中央に復帰し、最後は刑部尚書の肩書で退官した。詩風は平易を第一とした。詩文集『はくもんじゅう』は平安時代に我が国へ伝えられ、日本文学に多大な影響を与えた。ウィキペディア【白居易】参照。
把君詩卷燈前讀
きみかんりて灯前とうぜん
  • 詩巻 … 詩集。
  • 把 … 手に取る。
詩盡燈殘天未明
き ともしびのこりて てんいまけず
  • 詩尽 … 詩を読み終える。元稹の詩集を読了する。
  • 灯残 … ともしびがわずかに消え残っている。灯があとわずかで消えようとしている。
  • 天 … 空。
眼痛滅燈猶闇坐
いたみ ともしびして あんすれば
  • 眼痛灯滅 … 眼が痛くなったので、灯りを消す。
  • 猶 … それでもなお。そのまま。
  • 闇坐 … 暗がりの中に坐っていると。
  • 闇 … 『全唐詩』には「一作暗」とある。『汪本』では「暗」に作る。
逆風吹浪打船聲
ぎゃくふう なみいて ふねこえ
  • 逆風 … 向かい風。
  • 吹浪 … 波を吹き上げる。
  • 打船声 … 船べりを打ちつける音。船に叩きつける音。
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