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府西池(白居易)

府西池
西せいいけ
はくきょ
  • 〔テキスト〕 『白氏文集』巻五十八(『四部叢刊 初編集部』所収、通称:四部叢刊本・那波本)、『白氏文集』巻二十八(南宋紹興刊本、通称:紹興本)、『白氏文集』巻二十八(明馬元調校刊本、通称:馬本)、『白香山詩集』後集巻十(清汪立名編訂本、通称:汪本)、『全唐詩』巻四百五十一、他
  • 七言絶句。開・來(平声灰韻)。
  • ウィキソース「府西池」参照。
  • 大和五年(831)、白居易六十歳の作。当時、作者は洛陽でなんいん(市長にあたる役)として役所に勤めていた。この詩は、立春の日に役所の西にある池のほとりの景色を詠んだもの。平安中期の詩歌集『和漢朗詠集』巻上、春・立春の部に引かれている。
  • 府西池 … 役所の西の池。「府」は役所。
  • 白居易 … 772~846。中唐の詩人。あざなは楽天、号は香山居士。貞元十六年(800)、進士に及第。翰林学士、左拾遺などを歴任後、江州(江西省九江)司馬に左遷された。のち中央に復帰し、最後は刑部尚書の肩書で退官した。詩風は平易を第一とした。詩文集『はくもんじゅう』は平安時代に我が国へ伝えられ、日本文学に多大な影響を与えた。ウィキペディア【白居易】参照。
柳無氣力枝先動
やなぎりょくくして えだうご
  • 無気力 … 力がない。なよなよしている。だらりと下がっている。
  • 枝先動 … 枝先がまず真っ先に揺れ動く。
  • 枝 … 『和漢朗詠集』では「えだ」に作る。
池有波紋冰盡開
いけもんりて こおりことごとひら
  • 有波紋 … 池の水面に波の輪状の模様が広がっている。
  • 紋 … 『和漢朗詠集』では「文」に作る。
  • 尽 … すっかり。みな。全部。
  • 開 … 氷が解ける。
今日不知誰計會
今日こんにち らずたれ計会けいかいせる
  • 今日 … 今日は立春だというが。
  • 不知誰計会 … 誰がこんなにうまく計り合わせたのだろうか。「計会」は、計り合わせること。次の句の春風と春水とが同時に訪れるようにしたことを指す。
春風春水一時來
しゅんぷう しゅんすい いちきた
  • 一時来 … 同時にやって来た。同時に訪れて来た。
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