渡湘江(杜審言)
渡湘江
湘江を渡る
湘江を渡る
- 七言絶句。遊・愁・流(下平声尤韻)。
- ウィキソース「渡湘江」参照。
- 詩題 … 『文苑英華』『万首唐人絶句』では「發湘江」に作る。
- 湘江 … 湘水ともいう。広西チワン族自治区に発して湖南省を北上し、瀟水と合流して洞庭湖に注ぐ川。ウィキペディア【湘江】参照。
- この詩は、神龍元年(705)、則天武后の寵臣だった張易之兄弟がクーデターで殺されたとき、作者がこれに連座して峯州(今のベトナムのハノイ西北)に流され、その途中、湘江を渡ったときの作。『新唐書』文芸伝上に「神龍の初め、張易之に交通するに坐して、峯州に流さる」(神龍初、坐交通張易之、流峯州)とある。ウィキソース「新唐書/卷201」参照。
- 杜審言 … 645?~708。初唐の詩人。襄陽(湖北省)の人。字は必簡。杜甫の祖父。咸亨元年(670)、進士に及第。李嶠、崔融、蘇味道とともに「文章四友」と呼ばれる。ウィキペディア【杜審言】参照。
遲日園林悲昔遊
遅日 園林 昔遊を悲しむ
- 遅日 … うららかな春の日のこと。昼が長く、なかなか日が暮れないことから。『詩経』豳風・七月に「春日遅遅たり」(春日遲遲)とあるのに基づく。ウィキソース「詩經/七月」参照。
- 園林 … 庭園の中の林。
- 昔遊 … かつて遊んだ時のこと。昔の行楽。三国魏の文帝(曹丕)「呉質に与うるの書」(『文選』巻四十二)に「昔遊を追思すれば、猶お心目に在り」(追思昔遊、猶在心目)とある。ウィキソース「與吳質書」参照。
- 悲 … 懐かしんで悲しいほど思う。『史記』高祖本紀に「游子は故郷を悲しむ」(游子悲故鄉)とある。ウィキソース「史記/卷008」参照。『万首唐人絶句』では「非」に作る。
- 遲日園林悲昔遊 … 『文苑英華』では「他日林亭非舊遊」に作る。
今春花鳥作邊愁
今春 花鳥 辺愁を作す
- 今春 … 今年の春。
- 花鳥 … 花や鳥。
- 作辺愁 … 辺地にある身の愁いとなる。辺愁は、辺地にある身の憂愁。
獨憐京國人南竄
独り憐れむ 京国の人 南竄せられ
- 独憐 … ひとりわが身を憐れんでいるばかりだ。憐は、浅ましく思う。かわいそうに思う。
- 獨 … 『文苑英華』では「自」に作る。
- 京国人 … 都の人。京国は、みやこ。作者自身を指す。
- 南竄 … 罪によって南方の土地に流されること。
不似湘江水北流
湘江の水の北流するに似ざるを
- 湘江水北流 … 湘江の水が北に向かって流れていること。
- 不似 … 似ていない。自分はまったく逆である。
テキスト
- 『箋註唐詩選』巻七(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
- 『全唐詩』巻六十二(排印本、中華書局、1960年)
- 『杜審言集』巻下([明]許自昌編、『前唐十二家詩』所収、万暦三十一年刊、内閣文庫蔵)
- 『杜審言集』巻下(明銅活字本、『唐五十家詩集』所収、上海古籍出版社、1989年)
- 『文苑英華』巻二百九十(影印本、中華書局、1966年)
- 趙宦光校訂/黄習遠補訂『万首唐人絶句』巻十一(万暦三十五年刊、内閣文庫蔵)
- 『唐詩品彙』巻四十六([明]高棅編、[明]汪宗尼校訂、上海古籍出版社、1982年)
- 『古今詩刪』巻二十一(寛保三年刊、『和刻本漢詩集成 総集篇9』所収、汲古書院)
- 『唐詩別裁集』巻十九([清]沈徳潜編、乾隆二十八年教忠堂重訂本縮印、中華書局、1975年)
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