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登高(杜甫)

登高登高とうこう
杜甫とほ     
  • 七言律詩。哀・廻・來・臺・杯(平声灰韻)。
  • 『全唐詩』巻227所収。『唐詩三百首』七言律詩所収。ウィキソース「登高」参照。
  • 登高 … 高い所に登る。陰暦九月九日、重陽の節句に小高い丘に登って菊酒を飲み、災厄を払う。年中行事の一つ。『九家集注杜詩』では「九日五首 其五」として重出。『唐詩品彙』では「九日登高」に作る。
  • 杜甫 … 712~770。盛唐の詩人。襄陽じょうようの人。あざなは子美。李白と並び称される大詩人で「詩聖」といわれている。ウィキペディア【杜甫】参照。
風急天高猿嘯哀
かぜきゅうに てんたかくして えんしょうかな
  • 風急 … 風が激しく吹く。
  • 天高 … 青空が高く澄みわたる。
  • 猿嘯 … 猿が声を細長く引っぱって鳴くこと。
渚清沙白鳥飛廻
なぎさきよく すなしろくして とりめぐ
  • 渚 … 揚子江の水際。
  • 飛廻 … 輪を描いて、くるくる飛んでいる。
無邊落木蕭蕭下
へん落木らくぼく 蕭蕭しょうしょうとしてくだ
  • 無辺 … 見渡す限り果てしない。
  • 落木 … 落葉する木々。
  • 蕭蕭 … ここでは枯れ葉がものさびしく落ちる形容。
  • 下 … 「つ」と読んでもよい。枯れ葉が音を立てて散り落ちる。
不盡長江滾滾來
じんちょうこう 滾滾こんこんとしてたる
  • 不尽 … 尽きることのない。
  • 長江 … 揚子江のこと。
  • 滾滾 … 水が湧き出るように盛んに流れる様子。「袞袞」に作るテキストもある。
萬里悲秋常作客
ばん しゅう つねかく
  • 万里 … 故郷を一万里も遠く離れて。
  • 悲秋 … もの悲しく感じる秋。
  • 秋 … 『草堂詩箋』(『古逸叢書』所収)では「歌」に作る。
  • 常 … いつも。『九家集注杜詩』巻三十「九日五首 其五」では「長」に作る。
  • 作客 … 旅人となる。「客」は旅人。「作」は「為」と同じ。
百年多病獨登臺
ひゃくねん びょう ひとだいのぼ
  • 百年 … 生涯。
  • 多病 … 病気がち。
  • 独登台 … この日は重陽の節句であり、本来ならば親しい人たちと登るはずなのに、自分はたった一人でこの高台に登っている。
艱難苦恨繁霜鬢
艱難かんなん はなはうらむ 繁霜はんそうびん
  • 艱難 … さまざまな困難や苦しみ。
  • 苦 … 「はなはだ」と読む。ひどく。たいへん。
  • 恨 … うらめしい。
  • 繁霜鬢 … 真っ白になったびんの毛。「繁霜」は、真っ白に降りたたくさんの霜。「鬢」は耳ぎわの髪の毛。
潦倒新停濁酒杯
潦倒ろうとう あらたにとどむ 濁酒だくしゅはい
  • 潦倒 … 老いぼれること。落ちぶれること。
  • 新停 … 最近やめてしまった。
  • 濁酒 … にごり酒。
  • 服部南郭『唐詩選国字解』には「老衰ゆへ酒を止めたれば、いよいよ氣の晴るゝこともない」とある。『漢籍国字解全書』第10巻(国立国会図書館デジタルコレクション)参照。
唐詩選
巻一 五言古詩 巻二 七言古詩
巻三 五言律詩 巻四 五言排律
巻五 七言律詩 巻六 五言絶句
巻七 七言絶句
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