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返照(杜甫)

返照へんしょう
杜甫とほ     
  • 七言律詩。昏・痕・村・門・魂(平声元韻)。
  • 返照 … 「はんしょう」とも読む。夕日の照り返しの光。入り日の反射光線。返景。返映。
  • 『全唐詩』巻230所収。
  • 杜甫 … 712~770。盛唐の詩人。襄陽じょうようの人。あざなは子美。李白と並び称される大詩人で「詩聖」といわれている。ウィキペディア【杜甫】参照。
楚王宮北正黄昏
おうきゅうほく まさ黄昏こうこん
  • 楚王宮北 … 「おうきゅうきた」と訓読してもよい。楚王の離宮の北のあたり。巫山県の西北にあった。
  • 黄昏 … たそがれ。
白帝城西過雨痕
白帝はくていじょう西せい 過雨かうあと
  • 白帝城西 … 「白帝はくていじょう西にし」と訓読してもよい。「白帝城」は四川省奉節県の東、白帝山の上にあった城。ウィキペディア【白帝城】参照。
  • 過雨 … 通り雨。
返照入江翻石壁
へんしょう こうって石壁せきへきひるがえ
  • 返照 … 入り日の光。
  • 江 … 揚子江。
  • 石壁 … 揚子江の両岸の岩壁。
歸雲擁樹失山村
うん ようして山村さんそんしっ
  • 帰雲 … 雲は山中の洞穴に生じ、夕方にはそこへ帰って行くものと考えられていた。
  • 擁樹 … 樹々をおし包む。
  • 失山村 … 山辺の村を見えなくする。
衰年病肺唯高枕
衰年すいねん はいんでまくらたかくし
  • 衰年 … 老年。
  • 病肺 … 喘息ぜんそくを病むこと。『全唐詩』では「肺病」に作る。
  • 高枕 … 普通は安心してよく眠ることの意であるが、ここでは何もしないで寝てばかりいること。
絶塞愁時早閉門
絶塞ぜっさい ときうれえてはやもん
  • 絶塞 … 遠く離れた辺境のとりで。しゅうを指す。
  • 愁時 … 世の中が乱れていることを心配する。
不可久留豺虎亂
ひさしくさいらんとどまるべからず
  • 豺虎 … 山犬と虎。凶悪な人間にたとえる。
南方實有未招魂
南方なんぽう じついままねかれざるのこん
  • 南方 … しゅう地方を指す。
  • 未招魂 … 都に呼び戻されずにさまよっている魂、すなわち作者自身を指す。『楚辞』招魂の故事を踏まえる。
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