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㴩湖山寺(張説)

㴩湖山寺
㴩(よう)湖(こ)の山(さん)寺(じ)
張(ちょう)説(えつ)
  • 七言律詩。生・聲・情・明・纓(下平声庚韻)。
  • ウィキソース「㴩湖山寺 (七言)」参照。
  • 㴩湖 … 岳州(今の岳陽)の南にある湖。
  • 張説 … 667~730。初唐の詩人。字(あざな)は道済(どうさい)、または説(えつ)之(し)。洛陽(河南省洛陽市)の人。永昌元年(689)、賢良方正科の科挙に主席で合格。太子校書郎から鳳閣舎人、同中書門下平章事(宰相職)、中書令(宰相職)などを歴任し、燕(えん)国公に封ぜられた。『張説之文集』二十五巻がある。ウィキペディア【張説】参照。
空山寂歴道心生
空山(くうざん)寂歴(せきれき)として道心(どうしん)生(しょう)ず
  • 空山 … 人(ひと)気(け)のないさびしい山。南朝梁の江淹「無錫県歴山の集(つど)い」詩(『古詩紀』巻八十五)に「窃(ひそ)かに悲しむ 杜(と)蘅(こう)の暮、涕(なみだ)を擥(ぬぐ)いて 空山に弔う」(竊悲杜蘅暮、擥涕弔空山)とある。杜蘅は、植物の名。カンアオイ。ウィキペディア【カンアオイ】参照。ウィキソース「古詩紀 (四庫全書本)/卷085」参照。また、南朝梁の陶弘景の楽府「寒夜怨」(『楽府詩集』巻七十六)に「空山霜満ちて高煙(こうえん)平らかに、鉛(えん)華(か)沈み照らして帳(ちょう)孤(ひと)り明らかなり」(空山霜滿高煙平、鉛華沈照帳孤明)とある。高煙は、高(たか)嶺(ね)にかかる靄(もや)。鉛華は、おしろい。帳は、とばり。ウィキソース「樂府詩集/076卷」参照。
  • 寂歴 … 音もなく、人かげもなくひっそりとしているさま。寂寞に同じ。
  • 道心 … 仏教を信じ悟りを得ようとする心。
虚谷迢遙野鳥聲
虚谷(きょこく)迢(ちょう)遥(よう)たり 野(や)鳥(ちょう)の声(こえ)
  • 虚谷 … 人けのない谷。
  • 迢遥 … 遠くはるかなこと。
禪室從來塵外賞
禅室(ぜんしつ)は従(じゅう)来(らい) 塵外(じんがい)の賞(しょう)
  • 禅室 … ここでは、作者が訪れた山寺を指す。
  • 塵外賞 … 俗塵を離れた趣を欣賞すること。
  • 塵外 … 底本では「雲外」に作るが、『全唐詩』に従った。
香臺豈是世中情
香台(こうだい)は豈(あ)に是(こ)れ世(せ)中(ちゅう)の情(じょう)ならんや
  • 香台 … 寺のこと。
  • 世中情 … 世俗の感情。
雲間東嶺千尋出
雲間(うんかん)の東嶺(とうれい) 千尋(せんじん)に出(い)で
  • 雲間東嶺 … 雲(くも)間(ま)に見える東の峰。
  • 千尋 … 非常に高いこと。尋は、長さの単位。一尋は、周尺の八尺で、約一八〇センチメートル。
  • 尋 … 底本では「重」に作るが、『全唐詩』に従った。
樹裏南湖一片明
樹(じゅ)裏(り)の南(なん)湖(こ) 一片(いっぺん)明(あき)らかなり
  • 樹裏南湖 … 木々の隙間から望む南湖。南湖は、㴩湖を指す。
  • 一片 … そのあたり一帯。「ひと切れ」の意味ではない。
若使巢由同此意
若(も)し巣由(そういう)をして此(こ)の意(い)に同(おな)じうせしめば
  • 巣由 … 巣(そう)父(ほ)と許由(きょゆう)。ともに堯の時代の隠者。巣父は、樹上に巣を作って寝たという。「そうふ」とも。許由については、ウィキペディア【許由】参照。
  • 同 … 『全唐詩』では「知」に作る。
  • 此意 … 今、自分がひたっている気持ち。
不將蘿薜易簪纓
蘿(ら)薜(へい)を将(も)って簪纓(しんえい)に易(か)えざりしならん
  • 蘿薜 … つたかずら。転じて、隠者の衣服。
  • 簪纓 … 冠をとめるかんざしと、冠のひも。転じて、官吏の身分を意味する。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻五(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻八十七(排印本、中華書局、1960年)
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