幽州新歳作(張説)
幽州新歳作
幽州新歳の作
幽州新歳の作
去歳荊南梅似雪
去歳荊南 梅 雪に似たり
- 去歳 … 昨年。去年。
- 荊南 … 岳州を指す。今の湖南省岳陽。ウィキペディア【荊南】参照。
今年薊北雪如梅
今年薊北 雪 梅のごとし
- 薊北 … 幽州を指す。今の河北省地方。
共知人事何嘗定
共に知る 人事は何ぞ嘗て定まらん
- 人事 … 人間社会に起こる事がら。
- 何嘗 … 「~というようなことはあるはずもない」と訳す。「嘗」は『全唐詩』では「常」に作る。
且喜年華去復來
且く喜ぶ 年華 去り復た来るを
- 年華 … 年月。
邊鎮戍歌連夜動
辺鎮の戍歌 夜を連ねて動き
- 辺鎮 … 辺境の守備兵。
- 戍歌 … 守備兵の歌う歌。
- 夜 … 「日」に作るテキストもある。
京城燎火徹明開
京城の燎火 明に徹して開く
- 京城 … 都の宮廷。
- 燎火 … ここでは宮中の庭さきで焚くかがり火。
- 徹明 … 夜が明けるまで。
- 開 … ここではかがり火がさかんに輝くことをいう。
遙遙西向長安日
遥遥として西のかた長安の日に向い
- 遥遥 … はるかに遠く離れているさま。
- 西 … 「にしのかた」と読む。
- 長安日 … はるか長安の空を望むことをいう。晋の明帝が幼少の頃、太陽よりも長安の方が遠いと言った『世説新語』夙慧篇に見える故事を踏まえる。原文はウィキソース【世説新語/夙惠】参照。「晉明帝數歳~舉目見日、不見長安」部分。
願上南山壽一杯
願わくは上らん 南山の寿一杯
- 上 … 「たてまつる」と読む。
- 南山寿 … 南山の姿が永遠に変わらぬように、天子の長寿を祝福する言葉。『詩経』小雅、天保の詩に「南山の寿の如く、騫けず崩れず(如南山之壽、不騫不崩)」とあるのに基づく。原文はウィキソース【詩經/天保】参照。
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