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還至端州駅前与高六別処(張説)

還至端州驛前與高六別處
かえりて端州駅たんしゅうえきいたる、さき高六こうろくわかれしところなり)
ちょうえつ     
  • 五言律詩。暉・衣・非・歸(平声微韻)。
  • 『全唐詩』巻87所収。ウィキソース「還至端州驛前與高六別處」参照。
  • 還 … 赦免を受けて左遷地から都へ帰ること。
  • 端州駅 … 現在の広東省ちょうけい市(もとの高要県)。
  • 高六 … 高戩こうせん。姓は高。排行六(一族の中の同世代で六番目)。れいじょう(礼部の次官)であったが、作者とともに欽州(今の広西チワン族自治区)に流された。なお、簡野道明『唐詩選詳説』(明治書院、昭和四年)などの古い注釈書では、岳州(湖南省岳陽市)に左遷された時のものとあるが、誤り。
  • この詩は、作者が赦免を受けて都へ戻る途中、かつて高戩こうせんといっしょに泊まった端州の宿まで来て、高戩との思い出を詠んだもの。二人はそこで別れ、それぞれの配所へ向かったが、その後高戩は配所で亡くなった。いっしょに都に帰れなかった友人を傷み、悲しむ感情がよく表された作品。
  • 張説 … 667~730。初唐の詩人、政治家。あざな道済どうさい、またはえつ。洛陽(河南省)の人。中書令などを歴任し、えん国公に封ぜられた。ウィキペディア【張説】参照。
舊館分江口
きゅうかん分江ぶんこうほとり
  • 旧館 … かつて高戩こうせんと泊まった旅館を指す。
  • 分江口 … 端州の近くを流れる西江の川すじが分かれる辺り。
  • 口 … 『全唐詩』では「日」に作り、「一作口」との注がある。
悽然望落暉
凄然せいぜんとしてらくのぞ
  • 悽然 … もの悲しく、いたましいさま。
  • 落暉 … 沈む太陽。落日。夕日。入日。
  • 望 … 眺める。
相逢傳旅食
あいうてりょしょくつた
  • 旅食 … 旅先での弁当。
  • 伝 … (弁当を)互いに取り回して食べること。
臨別換征衣
わかれにのぞんではせい
  • 征衣 … 旅の衣。
  • 換 … 記念のために交換する。
昔記山川是
むかしおぼゆ 山川さんせんなるを
  • 記 … 記憶している。記憶を思い起こす。
  • 山川是 … 山川の姿は今も昔と変わりない。
今傷人代非
いまいたむ 人代じんだいなるを
  • 今傷 … 今は心が傷む。
  • 人代 … 人の世。「人世」に同じ。「代」を使っているのは唐の太宗、李世民のいみなを避けたため。
  • 非 … 昔のままでないこと。変わり果てたこと。高戩こうせんがこの世にいないこと。
往來皆此路
往来おうらい みなみちなるに
  • 往来 … 行きも帰りも。
  • 皆此路 … どちらもこの同じ道を通るのに。ここでの「皆」は「両方とも」の意。
生死不同歸
せい かえるをおなじうせず
  • 生死 … 私は生きながらえ、君は死んで。
  • 不同帰 … いっしょに都へ帰ることができないとは。
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